インサイダー取引(いんさいだーとりひき/Insider Trading)👁 閲覧数:207回

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M&A用語解説

インサイダー取引(いんさいだーとりひき/Insider Trading)

インサイダー取引とは、上場会社等の役員・従業員などの「会社関係者」が、職務等に関して会社の重要事実を知り、その重要事実が公表される前に、当該会社の株式などの特定有価証券等を売買することをいい、金融商品取引法第166条第1項により禁止されています。会社関係者でなくなった後1年以内の者も、同様に規制の対象となります。

会社関係者には、会社の役員・代理人・使用人その他の従業者、会社法上の会計帳簿閲覧請求権を有する株主、会社に対して法令に基づく権限を有する者、会社と契約を締結し又は締結の交渉をしている者などが含まれます(金融商品取引法第166条第1項各号)。また、会社関係者から重要事実の伝達を受けた者(情報受領者)が、その重要事実の公表前に売買等を行うことも禁止されています(金融商品取引法第166条第3項)。さらに、会社関係者が、他人に利益を得させ、又は他人の損失の発生を回避させる目的で、重要事実を伝達し、または公表前の売買等を勧めることも禁止されています(金融商品取引法第167条の2第1項)。

規制対象となる「重要事実」には、増資・合併・会社分割・株式交換・事業の譲渡又は譲受け・業務提携などの会社の意思決定に関する事実(決定事実)、災害や訴訟などの発生に関する事実(発生事実)のほか、業績予想の修正などの決算情報等が含まれます(金融商品取引法第166条第2項)。重要事実が「公表された」といえるのは、政令で定める方法により多数の者が知り得る状態に置かれた場合や、有価証券報告書などの書類が公衆の縦覧に供された場合などです(金融商品取引法第166条第4項)。なお、新株予約権の行使による株式の取得など、一定の場合は規制の適用が除外されます(金融商品取引法第166条第6項)。

公表前の売買等の禁止に違反した場合は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科という刑事罰の対象となるほか(金融商品取引法第197条の2第1項第13号)、課徴金納付命令の対象にもなります(金融商品取引法第175条)。

※重要事実の該当性や公表の有無の判断は個別の事実関係により異なるため、具体的な取引の可否については弁護士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

M&A取引では、案件の検討段階から契約締結・公表に至るまで、対象会社に係る重要事実や、公開買付け等の実施に関する事実などの未公表情報に接する関係者が多数にのぼります。契約の締結・交渉に関して情報を知ったアドバイザーや取引先なども会社関係者(金融商品取引法第166条第1項第4号)に該当し得るため、インサイダー取引規制への抵触リスクが特に高い局面といえます。

加えて、上場株券等の公開買付け(TOB)に関しては、公開買付者等関係者が、公開買付け等の実施に関する事実の公表前に対象となる株券等の買付け等を行うこと、又は公開買付け等の中止に関する事実の公表前に対象となる株券等の売付け等を行うことも別途禁止されており、公開買付者等関係者でなくなった後6か月以内の者も規制対象となります(金融商品取引法第167条第1項)。そのため、M&A実務においては、案件関係者の範囲を必要最小限に限定し、情報遮断措置やインサイダー登録簿の作成等による情報管理体制を整備することが、案件の適法な遂行のために重要となります。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年9月16日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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