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M&A用語解説
合併(がっぺい/Merger)
合併とは、2つ以上の会社が契約に基づき法的に一つの会社に統合される組織再編行為をいう。会社法上、合併は「吸収合併」と「新設合併」の2つの類型に区分される(会社法第2条第27号・第28号)。
吸収合併とは、合併により消滅する会社(消滅会社)の権利義務の全部を、合併後存続する会社(存続会社)に承継させるものをいう(会社法第2条第27号)。新設合併とは、2以上の消滅会社の権利義務の全部を、合併により新たに設立する会社(新設会社)に承継させるものをいう(会社法第2条第28号)。
合併の効力が生じると、存続会社または新設会社は、消滅会社の資産・負債・契約上の地位等の権利義務の全部を包括的に承継する(存続会社・新設会社が株式会社である場合について、会社法第750条第1項・会社法第754条第1項)。消滅会社は、合併により解散し(会社法第471条第4号)、清算手続を要しない(会社法第475条第1号)。消滅会社の株主には、合併契約等の定めに従い、存続会社または新設会社の株式その他の対価が交付される場合がある(吸収合併の場合は会社法第749条第1項第2号、新設合併の場合は会社法第753条第1項)。
合併は、株式取得(株式譲渡・株式交換等)と異なり、対象会社の法人格そのものを消滅させて一つの会社に統合する手法であるため、グループ内の重複組織の統合や、事業部門・許認可・契約関係を一体として引き継ぐ必要がある場面で用いられる。なお、許認可が合併により当然に承継されるかは、当該許認可の根拠法令や種類によって異なり、届出・認可の取得または再取得が必要となる場合がある。親子会社間の合併は、グループ内再編におけるガバナンス・管理コストの削減等を目的として用いられる場合があり、吸収合併では、略式合併(会社法第784条第1項・会社法第796条第1項)や簡易合併(会社法第796条第2項)の要件を満たす場合に、該当する当事会社で株主総会の承認が不要となることもある一方、対等な当事会社間の合併では、合併比率(対価の割当比率)の妥当性や、労務・システム統合を含むPMI(Post Merger Integration)の巧拙が、その後の企業価値に影響しうる。
また、合併は消滅会社の権利義務を包括的に承継する手法であるため、簿外債務・偶発債務を含めて消滅会社の負債を遮断できない点で、対象会社の一部資産のみを承継する事業譲渡とは異なる。加えて、一定の要件に該当する合併は、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第15条により、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合等には禁止され、一定の国内売上高基準を満たす場合には公正取引委員会への事前届出が義務付けられている(ただし、合併会社のすべてが同一の企業結合集団に属する場合は届出を要しない)。そのため、M&Aの検討段階で採用スキームとして合併を選択する際は、対価の設計、デュー・ディリジェンスによる簿外債務の把握、独占禁止法上の届出要否の確認等を、事業譲渡や株式取得といった他のスキームと比較しながら検討することが重要である。
※合併は会社法上の組織再編行為であり、原則として株主総会の特別決議による承認(会社法第309条第2項第12号、会社法第783条・会社法第795条・会社法第804条等)や、債権者異議手続(会社法第789条・会社法第799条・会社法第810条)等の法定手続を要する。
