新株予約権(しんかぶよやくけん)👁 閲覧数:257回

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M&A用語解説

新株予約権(しんかぶよやくけん)

新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより、その株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいいます(会社法2条21号)。新株予約権者は、あらかじめ定められた行使期間内に、定められた価額の財産を出資して権利を行使することで、その会社の株式を取得し、行使した日に株主となります(会社法282条1項)。ただし、上場会社が取締役の報酬等として発行する一定の新株予約権など、出資を要しない例外もあります(会社法236条3項)。新株予約権を発行する際には、目的である株式の数、行使に際して出資される財産の価額、行使期間などを新株予約権の内容として定めるほか、会社が一定の事由の発生を条件として新株予約権を取得できる旨(取得条項)を定めることもできます(会社法236条1項)。また、社債に新株予約権を付したものを新株予約権付社債といいます(会社法2条22号)。

新株予約権を引き受ける者を募集する場合には、募集新株予約権の内容・数、払込金額(又は金銭の払込みを要しない旨)、割当日などの募集事項を定める必要があり(会社法238条1項)、その決定は原則として株主総会の特別決議によります(会社法238条2項・会社法309条2項6号)。株主総会の決議により、募集新株予約権の内容・数の上限などを定めて、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任することもできます(会社法239条1項)。公開会社では、原則として取締役会の決議で募集事項を定めることができますが(会社法240条1項)、金銭の払込みを要しないことが引受人に特に有利な条件である場合や、払込金額が引受人に特に有利な金額である場合(いわゆる有利発行)には株主総会の決議が必要となり、取締役はその条件・金額で募集する理由を説明しなければなりません(会社法238条3項)。さらに公開会社では、引受人(その子会社等を含みます)が新株予約権の行使により総株主の議決権の過半数を有することとなり得る場合には、原則として割当日の2週間前までに株主への通知(公告でも可)が必要となります。ただし、引受人が公開会社の親会社等である場合などは、この限りではありません(会社法244条の2第1項・3項)。総株主の議決権の10分の1(定款でこれを下回る割合を定めた場合はその割合)以上を有する株主が、その通知又は公告の日から2週間以内に、引受けに反対する旨を通知したときは、会社の財産の状況が著しく悪化し、事業の継続のため緊急の必要がある場合を除き、割当日の前日までに株主総会の決議による承認を受けなければなりません(会社法244条の2第5項)。新株予約権の発行が法令・定款に違反する場合や、著しく不公正な方法により行われる場合で、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は発行の差止めを請求することができます(会社法247条)。このほか、株主に新たな払込みをさせないで新株予約権を割り当てる新株予約権無償割当ても認められています(会社法277条)。

新株予約権を役員や従業員に報酬・インセンティブとして付与するものは、一般にストックオプションと呼ばれます。税務上は、取締役・使用人など一定の者に付与される新株予約権のうち、付与契約に定められた行使期間や年間の権利行使価額の上限など、法令上の一定の要件を満たすもの(いわゆる税制適格ストックオプション)について、権利行使による株式の取得に係る経済的利益に所得税を課さない特例が設けられています(租税特別措置法29条の2第1項)。

※新株予約権の発行手続や税務上の取扱いは、会社の機関設計や付与の条件等によって異なるため、実行にあたっては弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

M&Aでは、対象会社が発行している新株予約権(ストックオプション等)の有無と内容を確認することが重要です。新株予約権が行使されると、新株の発行又は自己株式の交付によって株式が交付され、既存株主の持分や議決権割合が希薄化する可能性があるため、買収価格の算定や取得後の議決権割合の検討では、新株予約権の行使によって交付され得る株式(潜在株式)も考慮して検討されます。デューデリジェンスでは、新株予約権の発行状況に加え、取得条項の有無や、組織再編・支配権の異動の際の取扱いに関する定めなどを確認します。対象会社を完全子会社化する場面では、特別支配株主が株式売渡請求とあわせて対象会社の新株予約権の売渡しを請求することができるほか(会社法179条2項)、吸収合併・吸収分割・株式交換などの組織再編では、一定の新株予約権者に新株予約権買取請求が認められる場合があります(会社法787条1項)。

また、新株予約権は、敵対的買収に対する買収防衛策(いわゆるポイズンピル・ライツプラン)の手段としても用いられてきました。買収者以外の株主が新株予約権を行使できる仕組みなどにより、買収者の持株比率を低下させるものであり、新株予約権の無償割当てによる買収防衛策の適否が争われた裁判例もあります(最高裁判所第二小法廷平成19年8月7日決定)。資金調達の面でも、新株予約権付社債や、行使価額が株価に応じて修正されるMSCBなど、新株予約権を組み込んだ手法が用いられています。

この用語のカテゴリー

会社法企業経営

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年12月14日 | 最終更新日: 2026年10月20日
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