M&Aコンサル用語集TOP / ヤ行 / 有価証券報告書閲覧数:222回
M&A用語解説
有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)
有価証券報告書とは、金融商品取引法(金商法)第24条に基づき、上場会社その他一定の要件を満たす会社が、事業年度ごとに内閣総理大臣に提出しなければならない開示書類をいう。金商法第24条第1項は、提出義務者として、金融商品取引所に上場されている有価証券(特定上場有価証券を除く)の発行者(第1号)、これに準ずる有価証券の発行者(第2号)、有価証券届出書の適用を受けた有価証券の発行者(第3号)、及び当該事業年度又はその開始の日前4年以内に開始した各事業年度の末日のいずれかにおいて有価証券の所有者数が政令で定める数以上となった有価証券の発行者(第4号)の4類型を掲げている。ただし、第4号に該当する場合でも、事業年度末日の資本金の額が5億円未満であるときなどは提出を要しない(金商法第24条第1項ただし書)。所有者数の基準は、株券等については金融商品取引法施行令第3条の6第6項第1号が1,000人と定めている。
提出期限は、内国会社の場合、原則として事業年度経過後3か月以内である。記載事項は、当該会社の商号、当該会社の属する企業集団及び当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項であり、企業の概況・事業の状況・経理の状況(財務諸表等)等、投資判断に資する幅広い企業情報が含まれる。
上場会社等(上場有価証券の発行者等)は、有価証券報告書に加え、記載内容の適正性を確認した旨を記載する確認書(金商法第24条の4の2)、及び財務報告に係る内部統制の有効性を評価した内部統制報告書(金商法第24条の4の4)の提出も義務付けられている。提出された有価証券報告書等は、金融庁のEDINET(Electronic Disclosure for Investors NETwork)を通じて公衆の縦覧に供される(金商法第25条第1項、金商法第27条の30の7第1項)。
※有価証券報告書の提出義務の有無や、有価証券の所有者数基準その他の該当性判断は会社の状況により異なるため、具体的な該当性は弁護士・証券会社等の専門家に個別に確認する必要がある。なお、令和8年法律第64号による金商法第4条第1項の改正により2027年4月1日から施行される有価証券届出書の提出免除基準の見直し(1億円未満→5億円未満)は、有価証券届出書の提出要否に関する基準であり、有価証券報告書の提出義務を基礎づける有価証券の所有者数基準(株券等では1,000人)自体を変更するものではない。もっとも、有価証券届出書の提出を契機として有価証券報告書の提出義務を負う会社の範囲には、間接的な影響が生じ得る。
M&Aのデューデリジェンスにおいて、対象会社が有価証券報告書提出会社(いわゆる開示会社)であるか否かは重要な着眼点となる。開示会社である場合、EDINETを通じて過去の有価証券報告書を確認することで、対象会社の財務状況・事業内容・株主構成・関連当事者取引等に関する情報を効率的に把握でき、DDの初期段階における情報収集の負担を軽減できる。
また、M&Aのスキームによっては、譲受会社側が新たに有価証券報告書の提出義務を負うことがある。例えば、M&Aに伴う資本取引等の結果、事業年度末における有価証券の所有者数が金商法上の基準(株券等では1,000人以上)を満たし、かつ資本金の額が5億円以上である場合や、有価証券届出書の提出等を契機として提出義務の対象となる場合には、その後の事業年度について有価証券報告書の提出義務が生じることがあるため、M&A実行後の継続開示対応についてもあらかじめ検討しておく必要がある。もっとも、確認書・内部統制報告書の提出義務は、有価証券報告書提出会社のうち上場会社等に限定されているため、有価証券報告書の提出義務が生じた場合であっても、確認書・内部統制報告書の要否は別途、各提出要件に照らして確認する必要がある。
