割引キャッシュフロー法(わりびききゃっしゅふろーほう)👁 閲覧数:244回

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M&A用語解説

割引キャッシュフロー法(わりびききゃっしゅふろーほう)

割引キャッシュフロー法とは、企業や事業が将来生み出すキャッシュフローを、対象のリスクを反映した割引率で現在価値に割り引くことにより、事業価値や株式価値を算定する評価手法です。DCF法(Discounted Cash Flow法)と呼ばれることもあります。日本公認会計士協会 経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」(2013年7月改正)(PDF)は、これを「フリー・キャッシュ・フロー法」として、将来の利益やキャッシュ・フローに基づいて評価するインカム・アプローチの評価法に位置づけ、「DCF法と呼ばれる場合もある」としています(企業価値評価ガイドライン26〜27頁、33頁)。

事業価値は、将来の営業フリー・キャッシュ・フローの期待値を加重平均資本コストで割り引いた現在価値の合計として求めます。営業フリー・キャッシュ・フローは、税引後営業利益に減価償却費を加え、投資支出を差し引き、運転資本の増減額を調整して計算します。加重平均資本コスト(WACC)は、株主資本コストと税引後の負債資本コストを、株主資本価値と負債価値で加重平均した割引率です(企業価値評価ガイドライン31〜33頁)。

将来のキャッシュフローは、通常、一定期間(第n期まで)を詳細に見積もり、それ以降の価値はターミナル・バリュー(終価)として、比較的単純な仮定のもとで評価します。仮定としては、n+1期以降のフリー・キャッシュ・フローを一定とする場合や、期待インフレ率で成長するとする場合などが多いとされています(企業価値評価ガイドライン32〜33頁)。

この方法で求めた事業価値から株主価値を算定するには、事業価値に非事業資産の価値を加算し、有利子負債や優先株式等の価値を控除します。これらの調整項目は時価によるべきとされ、時価を利用できない場合は、推定される現在価値や簿価で代替します。一方、普通株主に帰属するフリー・キャッシュ・フローを株主資本コストで割り引き、株主価値を直接算定する方法もあります(企業価値評価ガイドライン32〜33頁)。

※評価額は、前提とする事業計画や割引率などによって異なります。個別の評価については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

企業価値評価ガイドラインは、M&Aや事業再編を行う企業が意思決定の参考とするために対象会社や事業の価値を評価することを「取引目的」の評価としています(企業価値評価ガイドライン57頁)。買収時の株主価値評価でフリー・キャッシュ・フロー法を用いる場合は、買い手が期待する売上増やコスト削減などのシナジー効果を将来にわたって予測し、増分キャッシュフローの現在価値からシナジー効果の額を算定する方法も考えられるとしています(企業価値評価ガイドライン54頁)。

一方、事業計画などの将来情報は恣意性を排除しにくく、客観性が問題となるケースもあるとされます(企業価値評価ガイドライン26頁)。複数の評価法を組み合わせる場合も、前提とする事業計画の実現可能性の不確実性が非常に高いときは、この方法の比重を下げることも検討すべきとしています(企業価値評価ガイドライン55頁)。実務では、事業計画、割引率、ターミナル・バリューの前提が評価額に大きく影響するため、各前提の根拠を確認することが重要です。

なお、中小M&Aについては、次の資料が別の手法を中心に説明しています。中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」参考資料2「中小M&Aの譲渡額の算定方法」(PDF)は、中小M&Aで用いられる主なバリュエーション手法として簿価純資産法、時価純資産法、類似会社比較法(マルチプル法)を挙げ、事例に即した方法を支援機関に相談して選ぶことが望ましいとしています(中小M&Aガイドライン参考資料2 1頁)。この資料ではDCF法は取り上げられていないため、中小規模の案件では、どの手法で譲渡額を検討するかを事前に確認しておくことが大切です。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年10月7日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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