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M&A用語解説
エグゼキューション(えぐぜきゅーしょん/Execution)
エグゼキューション(Execution)とは、M&Aの実務で、案件の発掘や提案(オリジネーション)に続き、交渉・調査・契約の締結を経てクロージングに至るまでの一連の手続を実行し、管理する業務をいいます。M&A専門業者やファイナンシャルアドバイザー(FA)の業務を、案件の発掘・提案と、成約に向けた実行・管理とに分けて説明する際に用いられます。
この語は、中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(PDF)の中では用いられておらず、ガイドライン上の定義もありません。中小M&Aガイドラインは、中小M&Aの一般的な手続の流れとして、バリュエーション、譲り受け側の選定(マッチング)、交渉、基本合意の締結、デュー・ディリジェンス(DD)、最終契約の交渉・締結、クロージング、クロージング後(ポストM&A)の各工程を整理しています(中小M&Aガイドライン44〜56頁)。エグゼキューションがこのうちどの工程を指すかはガイドライン上では定まっておらず、企業価値の算定やスキームの選定までを含めて使われる場合も、相手方が決まった後の工程を中心に使われる場合もあり得ます。
中小M&Aガイドラインによれば、基本合意は、交渉で概ね条件合意に達した段階で、最終契約におけるスキーム(株式譲渡や事業譲渡といった手法)、デュー・ディリジェンス(DD)前の時点における譲渡対価の予定額、最終契約締結までのスケジュール等の主要な合意事項を盛り込んで締結するものです(中小M&Aガイドライン47頁)。デュー・ディリジェンス(DD)は、主に譲り受け側が、譲り渡し側の財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について、FAや士業等専門家を活用して調査する工程です(中小M&Aガイドライン47頁)。その後の最終契約の工程では、DDで発見された点や基本合意で留保していた事項について再交渉を行い、最終的な契約を締結します(中小M&Aガイドライン48頁)。最終段階であるクロージングでは、株式等の譲渡や譲渡対価の支払を行い、特に譲り受け側から譲渡対価の全部又は一部が確実に入金されたことを確認することが必要とされます(中小M&Aガイドライン56頁)。
※エグゼキューションの対象とする工程や、支援機関が担当する業務範囲は契約ごとに異なるため、依頼前にアドバイザリー契約(仲介契約・FA契約)等で個別に確認する必要があります。
中小M&Aの手続は、基本合意、DD、最終契約、クロージングと段階を踏んで進み、重要な工程では必要に応じて仲介者・FAや士業等専門家の助言を受けながら進めることが重要とされています。中小M&Aガイドラインは、基本合意の締結に当たって仲介者・FAや士業等専門家の助言を受けて調印することが大切であるとし(中小M&Aガイドライン47頁)、最終契約については、助言を受けながら契約内容に必要な事項が網羅されているかを最終的に確認した後に調印するとしています。助言に納得できず不安がある場合には、調印前に他の支援機関に意見を求めること(セカンド・オピニオン)も有効とされています(中小M&Aガイドライン48頁)。
クロージングの準備も、実行段階の重要な作業です。事業譲渡の手法で承継対象財産の中に不動産が含まれる場合には、クロージング後速やかに登記手続を行う必要があるため、クロージングにおいて登記必要書類を授受することが通常であり、司法書士等と日程を調整して段取りを進めます。また、金融機関からの借入金や不動産等への担保設定がある場合には、担保解除(及びこれに伴う担保抹消登記手続)について取引金融機関との調整が予め必要となることがあります(中小M&Aガイドライン56頁)。
どこまでの工程を支援機関に任せるかも、実行段階では重要な論点となります。中小M&Aガイドラインは、仲介者・FAによっては業務範囲を手続中の特定の工程のみに絞っている場合があるとしており、当事者同士の間でほぼ基本合意が締結できている段階で、クロージングまでの手続のみを仲介者・FAに依頼するケースは増えつつあるとしています(中小M&Aガイドライン37頁)。そのため、依頼にあたっては、どの工程を誰が担うのかを契約書等で確認しておくことが重要です。
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