アドバイザリー契約(あどばいざりーけいやく/Advisory Agreement)👁 閲覧数:295回

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M&A用語解説

アドバイザリー契約(あどばいざりーけいやく/Advisory Agreement)

アドバイザリー契約とは、M&Aにおいて、譲り渡し側や譲り受け側が、仲介者やFA(フィナンシャル・アドバイザー)等の支援機関にM&Aの支援を依頼する際に締結する契約の呼称の一つです。国の中小M&Aガイドラインは、仲介者・FAを選定した後に締結する契約を「仲介契約」「FA契約」とし、その名称は「業務委託契約」「アドバイザリー契約」等とされることもあるとしています(中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」37頁(PDF))。

仲介契約とは、仲介者が譲り渡し側・譲り受け側双方との間で結ぶ契約をいい(中小M&Aガイドライン17頁)、FA契約とは、FAが譲り渡し側・譲り受け側の一方との間で結ぶ契約をいいます(中小M&Aガイドライン18頁)。中小M&Aガイドラインは、業務形態(仲介またはFA)により留意すべき事項が異なるため、いずれの業務形態であるかを確認しておく必要があるとしています(中小M&Aガイドライン38頁)。「アドバイザリー契約」という名称の契約についても、仲介契約・FA契約のどちらに当たるのかを、契約の当事者や内容から確認することが重要です。

中小M&Aガイドラインは、仲介契約・FA契約の内容の主なポイントとして、業務形態、業務範囲・内容、手数料の体系等、秘密保持、専任条項、直接交渉の制限に関する条項、テール条項、責任(免責)に関する条項を挙げています(中小M&Aガイドライン38頁~41頁)。業務範囲には、マッチングまで、バリュエーションやデュー・ディリジェンスまで、具体的なスキーム(手法)の策定まで、クロージング(決済)まで、PMIまでといった形が例示されており、手数料の体系にも、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬といった例がありますが、業務範囲・内容や手数料の金額・体系は、いずれも各仲介者・FAによって異なります(中小M&Aガイドライン38頁・39頁)。

このうち専任条項は、並行して他の仲介者・FAへ依頼することを禁止する条項です(中小M&Aガイドライン40頁)。その対象範囲は可能な限り限定されるべきであり、専任条項を設ける場合の契約期間は最長でも6か月~1年以内が目安とされています(中小M&Aガイドライン103頁・104頁)。直接交渉の制限に関する条項は、依頼者が相手方候補先と仲介者・FAを介さずに直接交渉または接触することを禁じる条項で、制限される候補先は基本的に仲介者・FAが関与・接触して紹介した候補先に、有効期間は基本的に仲介契約・FA契約が終了するまでに限定されます(中小M&Aガイドライン40頁)。テール条項は、M&Aが成立しないまま契約が終了した後、一定期間(テール期間)内に譲り渡し側がM&Aを行った場合に、仲介者・FAが手数料を請求できるとする条項で、テール期間は最長でも2年~3年以内が目安とされています。対象は、少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきとされています(中小M&Aガイドライン105頁)。

※契約の名称、業務範囲、手数料、各条項の内容は、支援機関や契約ごとに異なります。締結前に、契約書の内容を個別に確認する必要があります。

なぜM&Aで重要か

アドバイザリー契約は、M&Aの支援を受ける範囲、手数料、契約期間、他の支援機関への相談の可否等を定めるものであり、その後の手続の進め方に影響します。中小M&Aガイドラインは、仲介契約・FA契約を締結する際は、希望条件を明確に伝えつつ、締結前に納得がいくまで十分な説明を受けることが必要であり、業務の具体的な内容や報酬の妥当性等については、必要に応じて事業承継・引継ぎ支援センターを含む他の支援機関に意見を求めること(セカンド・オピニオン)も有効であるとしています。契約締結後は、元の支援機関がセカンド・オピニオンを許容しないことがあるため、セカンド・オピニオンを受けようとする場合には、秘密保持に関する条項等の内容をよく確認するよう述べています(中小M&Aガイドライン38頁)。

専任条項・直接交渉の制限に関する条項・テール条項は、内容によっては依頼者の選択肢を制約し得ます。中小M&Aガイドラインは、例えばテール期間が不当に長期にわたる場合には、その後の譲り渡し側の自由な経営判断を損なうおそれがあるとしています(中小M&Aガイドライン105頁)。契約期間や中途解約に関する事項も含め(中小M&Aガイドライン40頁)、条項の対象範囲と期間を締結前に確認しておくことが重要です。契約締結時には、参考資料6「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」も必要に応じて活用するよう示されています(中小M&Aガイドライン38頁)。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年10月1日 | 最終更新日: 2026年10月20日
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