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M&A用語解説
M&A仲介(仲介者)(えむあんどえーちゅうかい/ちゅうかいしゃ)
M&A仲介(仲介者)とは、M&Aにおいて、譲り渡し側・譲り受け側の双方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいう。中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、この意味で「仲介者」という用語を用い、一部のM&A専門業者がこれに該当するとしている(同ガイドライン17頁)。業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる(同17頁)。本用語集では、実務で用いられる「M&A仲介」の呼称とあわせ、同ガイドラインの用語に合わせて「仲介者」として解説する。
同ガイドラインによれば、金融機関、士業等専門家やM&Aプラットフォーマーであっても、仲介者と同様の業務を行う場合は、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、仲介者として同ガイドラインの適用があるものとされる(同17頁)。また、仲介契約とは、仲介者が譲り渡し側・譲り受け側の双方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を仲介業務という(同17頁)。
これに対し、FA(フィナンシャル・アドバイザー)は、譲り渡し側又は譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいう(同18頁)。同ガイドラインは両者の違いを次のように整理している(同42頁)。仲介者は、双方と契約を締結し、双方から手数料の支払を受けることが通常である。双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできないものの、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指して助言や調整を行う。FAは、一方と契約を締結し、その一方から手数料の支払を受ける。一方当事者のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえ、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指して助言や調整を行う。
同ガイドラインは、仲介者の活用例として、譲り渡し側・譲り受け側が、自社にとって最も有利な条件(例えば、譲渡額の最大化・最小化等)でM&Aを成立させることだけを重視するのではなく、仲介者が双方とそれぞれコミュニケーションをとることを通じて円滑に手続を進めることを重視する場合を挙げている(同42頁)。手数料については、仲介者は双方と契約を締結した上で双方に手数料を請求することが通常であり、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬といった体系が例示されるが、金額や体系は各仲介者によって異なる(同39頁)。
同ガイドラインは、中小M&Aの実務においては、FAよりも仲介者という形態の方が多く用いられているのが現状であると述べている(同99頁)。一方で、仲介者は、利益が対立し得る関係にある両当事者から依頼を受けて利害を調整する業務を行うため、一方の利益を優先し、又は一方の利益を害するリスク(利益相反のリスク)があると指摘されている。同ガイドラインは、利益相反が直ちに違法となるものではないとしている(同98頁)。
このため、同ガイドラインは、仲介者が利益相反のリスクを最小限とするために最低限講じるべき措置を定めている(同99頁)。例えば、両当事者と仲介契約を締結する仲介者であること(両当事者から手数料を受領することが定められている場合にはその旨)を両当事者に伝えること、バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)やデュー・ディリジェンス(DD)といった、一方当事者の意向を踏まえた内容となりやすい工程に係る結論を決定しないことが挙げられている(同99頁)。デュー・ディリジェンス(DD)については、仲介者は自ら実施すべきでないとされている。ただし、開示資料の整理・作成のサポートや実施スケジュールの調整・管理など、調査内容の検討や調査を踏まえた評価・判断に直接影響しない範囲で支援することは可能とされる(同74頁)。さらに、譲り受け側から追加で手数料を取得して便宜を図る行為などの利益相反行為を行わない旨を、仲介契約書に仲介者の義務として定めなければならないとしている(同99頁)。
依頼を検討する側については、業務形態として仲介業務とFA業務があり、どちらの形態が自身にとって適しているかを検討すべきとされている(同37頁)。仲介者から支援を受ける場合には、自らが支払う手数料に加え、相手方が支払う手数料の算定基準についても説明を求めることが考えられる(同71頁)。契約内容のポイントについては、アドバイザリー契約も参照されたい。
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