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M&A用語解説
MBI(エム・ビー・アイ/Management Buy-In)
MBI(エム・ビー・アイ、Management Buy-In:マネジメント・バイイン)とは、一般に、対象会社の外部から経営者・経営チームが入り、買収後の経営を担う形態を指して用いられる、M&A実務上の呼称です。MARRの用語解説は、外部経営者・経営チームが対象会社を買収することをいい、これにより従前の対象会社の経営者・経営陣は退任すると説明しています(MARR「マネジメント・バイイン」(M&A用語解説))。
MARRの説明では、MBOは対象会社の既存の経営者が自社を買収するのに対し、MBIでは就任予定の外部の経営者が買収する点に違いがあります。なお、MARRは、内部の従業員が自社や事業を買収するものをEBO(エンプロイー・バイアウト)としています。
実務上の進め方について、MARRは、外部経営者が主導してMBIを計画し、投資家から買収資金を調達する形があるとしています。一方、経営者個人による買収には資金調達の困難さや無限責任(債務保証)の難点があるため、PEファンドをエクイティ・スポンサーとしたLBOの形で実行されることもあるとし、その場合はPEファンド主導で買収が計画され、事業を成長させるのに適切な外部経営者を招いて共同投資の形で行われると説明しています。投資ファンドについては、買収ファンドも参照してください。
ただし、MBIの捉え方は資料によって異なります。日本M&Aセンターの解説記事は、投資家・ファンド・金融機関等が企業を買収し、経営権を握った後に外部の経営専門家を送り込む形としてMBIを説明しています(日本M&Aセンター「MBIとは?MBOとの違いやスキーム、活用するメリットを解説」(M&Aマガジン))。買収の主体を外部経営者自身とみるか、投資家・ファンド側とみるかで説明が分かれるため、個別の案件では、買収資金を出す者、買収後に経営にあたる者、売り手との関係を、契約書や資料で個別に確認することが重要です。
2026年10月時点のe-Gov法令検索では、MBIやマネジメント・バイインの語を用いた法令は確認できませんでした。中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)(令和6年8月・PDF)や事業承継ガイドライン(第3版)(令和4年3月・PDF)の本文にも、この語は見当たりません。
※MBIの手続・資金調達の方法は、対象会社の規模や買い手の属性によって異なります。個別の取引については、弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
MBIは、社内に後継者がいない場合などに、外部の経営人材に経営を委ねる選択肢の一つとなり得ます。事業承継ガイドライン(第3版)の「はじめに」は、事業承継の形態として、これまで中心であった親族内承継だけでなく、従業員承継や第三者承継(M&A)も増加しつつあると述べています。MARRは、MBIが行われる局面として、後継者がいない会社の事業承継M&Aで、従前の経営者が会社を買主へ譲渡して引退し、新しい買主が後継経営者を選任する場合や、一部の事業部門の売却(カーブアウト)で事業部門内部に新会社の経営者が見つからない場合などを挙げています。事業承継の観点では、売り手にとって、対象会社の事業を引き継いで経営にあたる意思と能力のある買い手を見つけられるかどうかが、検討の焦点になると考えられます。
一方、MBIでは、企業・事業の内部情報を持たない外部経営者が買収後の経営を担います。MARRは、この情報の非対称性を緩和するため、既存経営者と外部経営者が共同で買収するBIMBO(バイイン・マネジメント・バイアウト)という形が取られる場合もあると説明しています。日本M&Aセンターの解説記事も、新しい経営者が送り込まれると経営方針が大きく変わる可能性があり、従業員の戸惑いや反発も考えられるため、従業員や取引先などへの対策を事前に検討しておく必要があるとしています。こうした点から、実務上は、買収前のデューデリジェンスや、買収後のPMI(統合プロセス)、売り手や従業員、取引先との関係構築が、買収の成否に影響し得ると考えられます。
