M&Aコンサル用語集TOP / サ行 / ストラクチャー閲覧数:305回
M&A用語解説
ストラクチャー(すとらくちゃー/Structure)
ストラクチャーとは、M&Aにおいて、買収や譲渡を実行するための取引の枠組みや進め方を指す言葉であり、英語の structure(構造)に由来する。株式譲渡や事業譲渡などの手法を指すスキームと近い意味で使われることがあるが、ストラクチャーという場合は、手法の選択に加えて、株式をどの段階でどれだけ取得するかといった進め方まで検討の対象に含めることがある。
経済産業省の「スタートアップM&Aガイダンス」(2026年5月・PDF)は、M&A実行時の留意点の一つとして「ストラクチャーの検討(即時買収、段階的買収)」を挙げている(スタートアップM&Aガイダンス3頁)。このうち「M&Aストラクチャー検討」の項では、株式取得の段階に着目したストラクチャーの分類として、過半数以上を取得する即時買収と、協業による検証などを経ながら出資比率を段階的に引き上げ、最終的に子会社化する段階的買収を示している(スタートアップM&Aガイダンス87頁)。
スタートアップM&Aガイダンス87頁によれば、即時買収は、スピードを重視して意思決定や統合を進めやすい一方、期待のずれや企業文化の摩擦が表面化しやすいため、買収前の期待のすり合わせやPMI(買収後の統合)の初期設計が重要とされる。段階的買収は、協業や実証を通じて相互理解を深め、事業性を見極めながら進められる一方、目的のない少数株式の取得は株主構成を複雑にしやすいため、追加の株式取得などについて事前に認識をそろえておくことが有用とされる。そのうえで、株式取得の方法によってPMIの難易度・成功確率が大きく異なるため、ストラクチャーごとのメリット・懸念点を理解し、目的とフェーズに応じて適切に選択することが重要としている。
また、スタートアップM&Aガイダンス89頁は、新株予約権(ストックオプション)の買取などの方法によっては税務上の取扱いに影響が生じ得るため、ストラクチャーごとの税務面の検討が必要であるとしている。
手法の面では、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併などによって、引き継がれる資産・負債・契約・許認可、必要な手続、簿外債務や偶発債務を引き継ぐリスクが異なる(中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」参考資料(令和6年8月・PDF)1–3頁)。各手法の詳しい内容は、スキームの解説を参照されたい。
※用語の使い方は、M&A支援会社や案件によって異なります。個別の取引については、弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
ストラクチャーによって、株式を取得する割合や時期、引き継ぐ権利義務の範囲、必要な手続、買収後の統合の進め方、税務上の取扱いなどが変わる(中小M&Aガイドライン参考資料1–3頁、スタートアップM&Aガイダンス87頁・89頁)。M&Aの目的に合わないストラクチャーを選ぶと、手続の負担が増えたり、買収後の統合が難しくなったりするおそれがある。
このため、売り手・買い手は、M&Aの目的や対象会社の状況に加え、経営陣・従業員・取引先・金融機関などのステークホルダーへの影響も踏まえ、弁護士・税理士等の専門家と相談しながらストラクチャーを検討することが重要である。
