M&Aコンサル用語集TOP / ヤ行 / 役員選任権付株式閲覧数:177回
M&A用語解説
役員選任権付株式(やくいんせんにんけんつきかぶしき)
役員選任権付株式とは、会社法第108条第1項第9号に基づき、当該種類の株式の種類株主のみで構成する種類株主総会において、取締役又は監査役を選任する権利が付与された種類株式をいいます。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、この定めがある種類の株式を発行することができません(同項ただし書)。
役員選任権付株式を発行する場合、発行会社は定款で、選任する取締役又は監査役の数、他の種類株主と共同して選任することとするときはその内容、これらの事項を変更する条件等を定める必要があります(会社法第108条第2項第9号)。
「公開会社」とは、発行する株式の全部又は一部について譲渡制限を設けていない会社をいい(会社法第2条第5号)、株式が証券取引所に上場しているかどうかとは別の概念です。役員選任権付株式は、その株式の全部に譲渡制限を設けた非公開会社に限って発行できる設計であるため、将来的に上場(株式公開)を予定する会社では、上場準備の過程で整理・解消が必要になる点に留意が必要です。
※定款の設計、他の種類株主との調整方法は個別の資本構成により異なるため、弁護士等の専門家にご確認ください。
合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立や、ベンチャーキャピタル・事業会社からの出資受け入れの場面で、出資比率に応じた議決権だけでなく役員の指名権そのものを会社法上の権利として組み込む手法として、役員選任権付株式が用いられることがあります。株主間契約による役員指名権の合意と異なり、種類株式として設計すれば会社法上の権利として構成される点が特徴です。
事業承継においても、後継者以外の既存株主や外部出資者に一定数の役員選任枠を残しつつ、経営の実権は別の設計で後継者に移す、といった資本政策の一部として検討されることがあります。M&Aのデューデリジェンスでは、対象会社にこの種類株式が存在する場合、既存の役員選任枠が買収後のガバナンス設計に影響するため、内容を正確に把握する必要があります。
