全部取得条項付種類株式(ぜんぶしゅとくじょうこうつきしゅるいかぶしき)👁 閲覧数:238回

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M&A用語解説

全部取得条項付種類株式(ぜんぶしゅとくじょうこうつきしゅるいかぶしき)

全部取得条項付種類株式とは、種類株式の一つで、株主総会の決議によって当該種類の株式の全部を会社が取得することができる旨の定款の定めがある株式をいいます(会社法108条1項7号)。この定めを設けた種類株式発行会社は、株主総会の決議により、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができ、その際には取得の対価、対価の割当てに関する事項及び取得日を株主総会の決議で定めなければなりません(同法171条1項)。

この株主総会の決議は、会社法309条2項3号により特別決議(議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)を要するものとされています。また、取締役は当該株主総会において、全部取得条項付種類株式の全部を取得することを必要とする理由を説明しなければなりません(同法171条3項)。

※全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトの要否や具体的な手続については、対象会社の状況によって異なるため、弁護士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

全部取得条項付種類株式は、M&Aにおいて少数株主を金銭対価等で強制的に退出させるスクイーズアウトの手法の一つとして用いられてきました。具体的には、対象会社の普通株式をあらかじめ全部取得条項付種類株式に転換したうえで、株主総会の特別決議により会社がその全部を取得し、対価の割当てにおいて生じる端数処理等を通じて、買収者以外の少数株主を金銭対価により締め出す設計に利用されます。上場会社の非公開化(MBO等によるゴーイングプライベート取引)や、完全子会社化を伴うキャッシュアウト・マージャーの場面で実務上活用されてきた手法です。

なお、平成26年(2014年)の会社法改正により、対象会社の議決権の90%以上を有する特別支配株主が少数株主から株式等を強制的に取得できる特別支配株主の株式等売渡請求の制度(会社法179条以下)が新設されるとともに、株式併合についても反対株主の株式買取請求権(同法182条の4)などの少数株主保護手続が整備されました。現在の上場会社を対象とするスクイーズアウト実務では、議決権の90%以上を有する場合は株式等売渡請求、90%未満の場合は株式併合を用いるのが主流となっており、全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトは、これらの制度が整備される以前から用いられてきた手法として、現在も法的には利用可能なものの、現在の実務における中心的な選択肢ではなくなっています。デューデリジェンスにおいては、対象会社が過去にこの手法による組織再編を行っていないか、株主構成の変遷とあわせて確認することが重要です。

この用語のカテゴリー

M&A実務

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年12月14日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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