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M&A用語解説
MBO(エム・ビー・オー)
MBO(エム・ビー・オー、Management Buyout:マネジメント・バイアウト)とは、会社の経営陣が、自己資金のほか、必要に応じて投資ファンドからの出資や金融機関からの借入れなどを活用して、自社の株式や特定の事業部門を買い取る手法をいいます。買収の主体が社外の第三者ではなく、対象会社の事業内容や実務に精通した現経営陣自身である点が特徴です。
実務では、経営陣が買収のために特別目的会社(SPC)を設立し、投資ファンド等からのエクイティ出資と金融機関からの借入れ(LBOローン等)を組み合わせて買収資金を調達したうえで対象会社の株式を取得し、その後に対象会社とSPCを合併させるなどの方法がとられることがあります。このように、対象会社の将来のキャッシュフロー等を主な返済原資とし、対象会社の資産等も活用して借入れを行う手法はLBO(Leveraged Buyout)と呼ばれ、MBOにおいてこのLBOの仕組みが利用されることがあります。
MBOは、親族内に後継者がいない中小企業で、役員・経営陣等が株式を買い取って事業承継を行う選択肢の一つとして活用されるほか、上場企業が株式市場からの短期的な評価等に左右されにくい経営体制を構築し、中長期的な経営改革を進めることなどを目的として非公開化(ゴーイングプライベート)する場合や、親会社が子会社や事業部門を切り出し、現経営陣が買い取って独立する場合など、さまざまな場面で活用されています。
特に上場会社を対象とするMBOでは、対象会社の取締役である経営陣が同時に株式の買い手となり、買収対価を低くすることについて利害関係を有するため、株式を売却する一般株主との間に構造的な利益相反が生じるとされています。また、経営陣は対象会社の内部情報に精通している一方、一般株主が入手できる情報は限られているため、両者の間には情報の非対称性も存在します。経済産業省は、こうした取引で公正な手続を確保する観点から「公正なM&Aの在り方に関する指針」(2019年公表。2007年公表の旧MBO指針を、その後の実務・裁判例の蓄積や経営環境の変化等を踏まえて見直すとともに、支配株主による従属会社の買収も対象に加えたもの)を示しており、独立した特別委員会の設置や、外部専門家からの独立した専門的助言、株式価値算定書・フェアネス・オピニオンの取得などが、公正性を担保するための措置として示されています。
※MBOの手続き・資金調達スキームは、対象会社が上場・非上場のいずれであるか、事業承継目的か非公開化目的かなどによって異なります。個別の取引については弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
MBOは、社外の第三者に会社を売却するのではなく、事業内容を熟知した現経営陣が引き続き経営にあたることができるため、取引先や従業員への影響を抑えやすく、事業承継の選択肢となり得る手法として注目されています。一方で、SPCを用いたスキームでは、合併によりSPCが調達した借入れが対象会社に引き継がれ、対象会社の財務に負担となる場合があるため、事業計画や資金繰りへの影響も含めた慎重な検討が必要です。
