有価証券届出書(ゆうかしょうけんとどけでしょ)👁 閲覧数:188回

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M&A用語解説

有価証券届出書(ゆうかしょうけんとどけでしょ)

有価証券届出書とは、有価証券の募集又は売出しについて金融商品取引法(金商法)第4条に基づく届出が必要となる場合に、原則として発行者が内閣総理大臣(実務上はEDINETを通じて所管の財務局長等に提出)に提出しなければならない開示書類をいう。金商法は、投資者保護の観点から、有価証券の募集・売出しに際して発行者に情報開示を義務付けており(同法第4条第1項)、有価証券届出書はその中心となる開示書類である。

現行法(2026年9月時点)の金商法第4条第1項第5号は、発行価額又は売出価額の総額が1億円未満の募集・売出し等(内閣府令で定めるもの)については、届出義務の対象外とする旨を定めている。ただし、個々の募集・売出しの額が1億円未満であっても、過去1年以内に行われた同種の募集・売出し等と通算した総額が1億円以上となる場合には、届出義務の対象外とならない場合がある。したがって、M&Aに関連して第三者割当増資等により資金調達を行う場合でも、その取得勧誘が金商法上の「募集」に該当し、かつ発行価額の総額(通算後を含む)が届出基準額以上となる場合には、適用除外に該当しない限り、原則として有価証券届出書の提出が必要となる。なお、2026年7月15日に成立し、同月23日に公布された「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第64号)により、この届出免除基準は1億円未満から5億円未満へ引き上げられ、2027年4月1日から施行される(同法附則第1条第4号)。附則第2条により、同日以後に開始する募集・売出し等については改正後の金額基準(5億円未満)が適用され、施行日前に開始したものは従前の例による。

有価証券届出書の記載事項は、金商法第5条第1項により、募集・売出しに関する事項に加え、発行者の商号、当該会社が属する企業集団及び当該会社の経理の状況その他事業内容に関する重要な事項として内閣府令で定める事項とされている。また、同法第8条第1項により、届出は原則として内閣総理大臣が届出書を受理した日から15日を経過した日にその効力を生ずるとされている(届出の効力発生日)。同法第15条第1項により、この届出の効力が生じるまでの間は、原則として、当該有価証券を募集又は売出しにより投資者に取得させ、又は売り付けることができない。

※有価証券届出書の提出要否・記載内容、届出免除基準(1億円未満/改正後5億円未満)や、効力発生時期の短縮特例(金商法第8条第3項等)の適用可否は、過去の募集等との通算規定の有無を含め個別の募集・売出しのスキームにより異なるため、具体的な該当性は弁護士・証券会社等の専門家に個別に確認する必要がある。

なぜM&Aで重要か

M&Aにおいて、対象会社が第三者割当増資等により買収資金相当額を調達する場合、金商法上の「募集」への該当性及び適用除外の有無によって提出要否は異なるが、募集に該当し、かつその発行価額の総額(通算後を含む)が届出基準額(現行は原則1億円以上、2027年4月1日以後に開始する募集・売出し等については原則5億円以上)となるときは、有価証券届出書の提出が必要となることがある。また、株式交換・株式移転等の組織再編に伴い新株等を発行・交付する場合にも、金商法上の特定組織再編成発行手続又は特定組織再編成交付手続に該当するときは、同様に開示書類の提出が必要となることがある。届出書の受理から効力発生までは原則として15日間の期間を要するため、資金調達やスキームのスケジュールを検討する際には、この期間を織り込んだ実行スケジュールの設計が必要である。

また、M&Aのデューデリジェンスにおいては、対象会社が金商法上の継続開示義務を負う会社(いわゆる開示会社)であったか否か、また、過去に有価証券届出書等を提出していたか否かは、対象会社の財務状況・事業内容・株主構成等を把握するための重要な情報源となる。

この用語のカテゴリー

企業経営

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2019年8月29日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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