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M&A用語解説
パーチェス法(ぱーちぇすほう/Purchase Method)
パーチェス法とは、企業結合の会計処理のうち、企業会計基準第21号が「取得」とする企業結合に適用される会計処理の方法を指す語である。「取得」とは、ある企業が他の企業又は事業に対する支配を獲得することをいう。企業会計基準第21号は、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合を「取得」とし、その会計処理を第18項から第36項に定め、このうち第18項から第33項の会計処理を「パーチェス法」という(企業会計基準委員会「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号、2019年1月16日最終改正・2026年1月9日修正反映)(PDF)、第9項、4頁;第17項、5頁)。
パーチェス法では、連結会計基準(企業会計基準第22号)の支配の考え方等により取得企業を決定し、被取得企業又は取得した事業の取得原価を、原則として、支払対価となる財の企業結合日における時価で算定する。この取得原価を、識別可能な資産及び負債の企業結合日時点の時価を基礎として、企業結合日以後1年以内に配分する(企業結合に関する会計基準第18項、5頁;第23項、6頁;第28項、8頁)。
取得原価が配分された純額を上回る場合、その超過額はのれんとして資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって規則的に償却する。ただし、金額に重要性が乏しい場合は、生じた事業年度の費用として処理できる。下回る場合の不足額は負ののれんとなり、配分を見直したうえで、なお残るときは、生じた事業年度の利益として処理する。ただし、不足額に重要性が乏しい場合は、見直しを行わずに利益として処理できる(企業結合に関する会計基準第31項、第32項、8頁;第33項、9頁)。
かつて一部の企業結合には、資産及び負債を帳簿価額で引き継ぐ持分プーリング法が適用されていたが、2008年(平成20年)の改正で廃止された(企業結合に関する会計基準 結論の背景第70項、22–23頁)。ただし、共同支配企業の形成や共通支配下の取引(親子会社間の合併など)はパーチェス法の対象外で、移転する資産及び負債は原則として帳簿価額により計上する(企業結合に関する会計基準第16項、5頁;第38項・第41項、10–11頁)。詳しくは簿価引継法を参照。
国際会計基準(IFRS)では、IFRS第3号「企業結合」が取得法(acquisition method)の適用を定めている。識別可能な資産及び負債を原則として取得日の公正価値で測定する点はパーチェス法と共通するが、のれんは、日本基準では規則的に償却するのに対し、IFRSでは償却しない(EU採用版の本文:欧州委員会規則(EC) No 495/2009附属書)。細部は同一ではないため、適用する基準の本文を確認する必要がある。
※会計処理は、個別の取引や適用する会計基準によって異なります。個別の取引については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。
のれんは、取得原価と、配分された識別可能な資産及び負債の純額との差額として決まる。買収後の貸借対照表や損益は、対価の額だけでなく、どの資産・負債をいくらで評価したかにも左右される。買収価格の妥当性や引き継ぐ資産・負債の実態を、デューデリジェンスで事前に精査しておくことが、買収後の会計処理を見通すうえでも重要となる。
例えば、取得原価が10億円、受け入れた識別可能な資産の時価が15億円、引き受けた負債の時価が8億円なら、配分される純額は7億円で、差額の3億円がのれんとなる(数値は説明のための仮定)。
