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M&A用語解説
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
瑕疵担保責任とは、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による改正前の民法において、売買の目的物に「隠れた瑕疵」があったときに売主が負う責任をいいます。改正前民法570条は、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは566条の規定を準用するとしており、買主は、そのために契約をした目的を達することができないときは契約の解除をすることができ、解除をすることができないときは損害賠償の請求のみをすることができるとされていました。契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならないとされていました(改正前民法570条・民法566条)。ただし、強制競売の場合は、この限りでないとされていました(改正前民法570条ただし書)。
この法律は、一部の規定を除き、2020年(令和2年)4月1日から施行されています(法務省)。改正後の民法では、売主の責任は、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合の責任(いわゆる契約不適合責任)として定められています。買主は、履行の追完(目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡し)を請求することができ(民法562条)、相当の期間を定めて履行の追完の催告をしてもその期間内に追完がないときなどは、不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(民法563条)。ただし、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、これらの請求をすることができません(民法562条2項・民法563条3項)。これらの規定は、損害賠償の請求(民法415条)や契約の解除(民法541条・民法542条)を妨げません(民法564条)。もっとも、損害賠償や解除が認められるためには、それぞれの規定に定める要件を満たす必要があります。種類又は品質に関する不適合については、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、これらの請求等をすることができなくなります。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りではありません(民法566条)。
平成29年法律第44号の施行日前に売買契約が締結された場合における、その契約及びこれに付随する特約については、なお従前の例によるとされています(平成29年法律第44号附則34条1項(法務省掲載の法律本文・PDF))。このため、施行日前に締結された売買契約には、改正前の瑕疵担保責任の規定が適用されます。
なお、売主は、担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実等については、その責任を免れることができないとされています(民法572条)。
※個別の契約の解釈や適用関係については、弁護士等の専門家にご確認ください。
M&Aの最終契約書(株式譲渡契約・事業譲渡契約等)では、民法の担保責任の規定とは別に、表明保証条項や補償等の規定を設けて、対象会社や事業に関するリスクの分担を当事者間で定めることがあります。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」(令和6年8月・PDF)は、表明保証条項について、その違反に基づく損害賠償・契約の解除といった補償等についての規定も設けられることが通常であり、契約当事者間における潜在的なリスクの分担を図る機能を有するとしています(中小M&Aガイドライン22頁)。
契約書の担保責任に関する条項を確認する際は、契約の締結日によって改正前・改正後のどちらの民法の規定が前提となるか(平成29年法律第44号附則34条1項)、民法の規定を特約でどのように変更しているか(民法572条の制限を含む)を確認することが重要です。
