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M&A用語解説
のれん代(のれんだい/goodwill)
のれん代とは、企業結合のうち、会計上「取得」として処理されるものにおいて、取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合に、その超過額として計上される会計上の項目を指す語である。会計の用語としては「のれん」といい、下回る場合のその不足額は「負ののれん」として会計処理する(企業会計基準委員会 企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(最終改正2019年1月16日)(PDF)、第31項、8頁)。
本用語集では、見出しを「のれん代」とし、会計基準上の用語である「のれん」について解説する。
日本の会計基準では、のれんは資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。また、のれんは固定資産の減損会計の対象となり、規則的に償却する場合にも減損処理が行われる(企業結合に関する会計基準第32項、8–9頁、結論の背景第108項、36頁)。
税務上は、非適格合併など一定の場合に、非適格合併等の対価額が移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超えるときの、その超える部分のうち政令で定める部分として「資産調整勘定」が生じることがある(法人税法(昭和40年法律第34号)第62条の8第1項)。会計上ののれんとは認識の要件と金額の算定の基礎が異なるため、資産調整勘定の金額は会計上ののれんと一致するとは限らない(会計と税務の関係は営業権も参照)。
国際会計基準(IFRS)では、取得後ののれんを規則的に償却せず、のれんが配分された資金生成単位について、毎年および減損の兆候がある場合に減損テストを行う(IFRS財団「IFRS 3 Business Combinations」(2026年版・英語)付録B第B63項(a)、IFRS財団「IAS 36 Impairment of Assets」(2026年版・英語)第90項)。日本基準がのれんを規則的に償却するのに対し、IFRSでは規則的には償却しない点で異なり、どちらの基準を適用するかによって損益への現れ方が変わる。
※会計処理は、個別の取引や適用する会計基準によって異なります。個別の取引については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。
M&Aでは、取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合、その差額がのれんとなる(企業結合に関する会計基準第31項)。このため、他の条件が同じであれば、取得原価が大きいほどのれんも大きくなり、日本基準では規則的な償却や減損を通じて買収後の損益に影響する。M&Aの検討では、デューデリジェンスなどの過程で、会計上ののれんと税務上の資産調整勘定を区別し、それぞれの発生条件や金額を確認することが重要である。
たとえば、日本基準を前提として、取得原価が5億円、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額が4億円であれば、差額の1億円がのれんとなる。その効果の及ぶ期間を10年と見積もって定額法で償却する場合、年間の償却額は1,000万円となる(計算を示すための仮定であり、実際の償却期間は個別に判断される)。
