M&Aコンサル用語集TOP / ハ行閲覧数:24回
M&A用語解説
バーチャルデータルーム(ばーちゃるでーたるーむ)
バーチャルデータルーム(VDR)とは、M&Aのデューデリジェンスなどで必要となる財務資料や契約書、事業計画といった機密性の高い情報を、インターネット上で安全に共有・管理するためのクラウド型サービスです。従来は、資料を特定の場所に集め、買い手候補やアドバイザーが現地で閲覧する物理的な「データルーム」方式が主流でしたが、近年はVDRを利用したオンラインでの資料開示が広く用いられるようになっています。
VDRの多くは、資料ごとに閲覧者のアクセス権限を細かく設定できるほか、誰がいつどの資料を閲覧・ダウンロードしたかのログを自動的に記録する機能を備えています。資料によって印刷やダウンロードのみを制限したり、閲覧者名や閲覧日時などを画面上に自動表示する透かし(ウォーターマーク)機能により情報の不正な持ち出しを抑止したりする仕組みも一般的です。
紙のデータルームでは、資料の原本コピーや部屋の管理・立ち会いなど、売り手企業側の負担が小さくありませんでした。これに対しVDRでは、資料の準備やアップロードといった作業自体は必要になるものの、現地での閲覧対応や物理的な資料管理に伴う負担を軽減できるため、経営者や実務担当者の時間的な拘束を抑えられる点が実務上のメリットとされています。買い手候補が複数存在する入札方式のM&Aや、時差のある海外企業とのクロスボーダー案件でも、地理的な制約を軽減できる点も評価されています。
売り手企業にとっても、買収監査の資料を複数の買い手候補へ効率よく開示できる基盤となります。中小企業のM&A仲介の実務では、仲介会社やファイナンシャル・アドバイザーが契約するVDRを案件ごとに利用できる場合があり、その場合はVDR利用料が仲介手数料等に含まれ、譲渡側に個別の費用負担が生じないこともあります。もっとも、費用負担の扱いは支援会社や契約内容によって異なるため、個別に確認することが重要です。また、高度なセキュリティ機能を備えたVDRほど利用料が高くなる傾向があるほか、個人データが含まれる場合には、サーバーの所在地だけでなく事業者によるデータの取扱い方によって個人情報保護法上の規制(外国にある第三者への提供など)が問題となることがあるため、個別の確認が必要です。
VDRは、M&Aのデューデリジェンス(買収監査)を円滑に進めるための実務基盤として重要な役割を果たします。買い手候補は、限られた期間内に財務・法務・事業計画等の資料を確認して意思決定を行う必要があり、VDRを利用することで、複数の買い手候補やアドバイザーへ同時並行で効率よく情報開示を行うことができます。閲覧権限やログ管理の機能により、開示範囲や情報管理の状況を売り手側が把握しやすくなる点も、M&Aの実務において重視されています。
たとえば、入札方式のM&Aで複数の買い手候補が同時にデューデリジェンスを行う場合、売り手企業がVDRへ資料を一括してアップロードし、候補企業ごとに閲覧権限を設定することで、資料の重複対応や現地での立ち会いといった負担を抑えながら、候補者ごとの開示範囲を管理しつつ情報開示を進めることができます。もっとも、VDRの選定や利用料の負担、機密情報の管理方法については案件ごとに異なるため、個別に確認することが重要です。
M&A実務
