M&Aコンサル用語集TOP / サ行閲覧数:23回
M&A用語解説
サーチファンド(さーちふぁんど)
サーチファンドとは、経営者を目指す個人(サーチャー)が投資家から資金の提供を受けて中小企業を探索し、買収を通じて自らその会社の経営者として承継する仕組みです。サーチファンドの仕組みは1984年に考案され、当時ハーバード・ビジネススクールで教鞭を執っていたH. Irving Grousbeck氏がその考案に関わったとされています。Grousbeck氏はその後1985年にスタンフォード大学経営大学院(Stanford GSB)に移り、同校を拠点にサーチファンドの研究・普及を進めてきました。後継者不在に悩む企業と、経営者になることを志す人材とを結びつける事業承継の一形態として、近年、日本でも注目を集めています。
一般的なサーチファンドの資金調達は、大きく2段階に分かれます。まずサーチャーが少数の投資家から、買収候補企業を探索するための費用(サーチ費用)の出資を受け、対象企業を探索・選定します。買収候補が見つかると、投資家から改めて買収資金の出資を受け、株式譲渡などの手法により経営権を取得し、サーチャー自身が社長として経営にあたるのが基本的な流れです。一般的なM&Aによる第三者承継と異なり、経営者候補となる人材があらかじめ決まった状態で買収が進む点が特徴とされています。
サーチファンドには複数の形態があり、米国を中心とするETA(Entrepreneurship Through Acquisition)の実務では、少人数の投資家グループが探索段階から資金を提供し、その後買収資金を調達する「トラディショナル型」や、探索段階の費用を主にサーチャー自身が負担する「セルフファンド型」が代表的なモデルとして知られています。このほか、特定の組織がサーチャーの育成・支援・資金提供を一括して行う「アクセラレーター型」など、複数のバリエーションがあるとされます。もっとも、日本国内での実務上の呼称や分類は情報源によって表現が異なる場合があり、確立した定訳があるとまでは確認できていません。
中小企業庁の資料「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」(令和6年6月28日)では、独立行政法人中小企業基盤整備機構がサーチファンド型ファンドの募集枠を設定し、令和5年12月に公募を実施したことが示されています。また、同資料が紹介する「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」2024年改訂版では、事業承継円滑化や経営人材確保の観点からサーチファンドの育成に積極的に取り組む方針が示されています。金融機関や支援機関による活用支援の動きも広がりつつあります。
後継者不在の中小企業にとっては、自社の理念や従業員の雇用を引き継ぎながら新たな経営者を確保できる選択肢のひとつとなり得る一方、日本国内での実施件数はまだ限定的な段階にあり、契約条件やサーチャーへの経営権移譲の設計は個々の案件によって異なります。導入を検討する際は、専門家への相談を通じて自社に適した手法かどうかを個別に判断することが重要です。
サーチファンドは、後継者不在に悩む中小企業にとって、M&Aによる第三者承継の新たな選択肢の一つとなり得る仕組みです。譲渡側は、経営者となる意思を持つサーチャーへ経営を引き継げる可能性があり、既存の事業や従業員、取引関係にも配慮しながら承継を進められる可能性があります。金融機関や中小機構等の支援機関を通じて、サーチファンドの活用を検討できる機会も広がりつつあります。
たとえば、後継者が不在のまま事業を続けてきた企業が、投資家から資金提供を受けたサーチャーへ株式を譲渡し、サーチャー自身が新たな経営者として引き継ぐといった流れが想定されます。この場合、譲渡側は自社の従業員や取引先との関係を維持しながら第三者承継を実現できる可能性がある一方、出資条件やサーチャーへの経営権移譲の設計は案件ごとに異なるため、実行にあたっては専門家への相談が重要です。
M&A実務
