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意向表明書(LOI)と条件交渉|書き方・進め方のポイント

佐藤 信

監修:佐藤 信アイアールアイM&Aコンサルティング株式会社 取締役
最終更新日:2018年4月18日

📋 この記事でわかること

  • 意向表明書とは何か・法的拘束力の有無
  • 複数の候補企業から選定する際の基準
  • 条件交渉で自社の優先順位を明確にする重要性
  • 合意形成における仲介者・アドバイザーの役割
📝 この記事のまとめ 📝
  • 意向表明は譲り受け候補企業が譲渡価格や希望条件を書面で示す最初のステップで、通常は法的拘束力を持ちません
  • 候補企業の選定は価格だけでなく雇用維持や事業継続方針なども踏まえて行います。
  • 条件交渉では自社の優先順位(価格・雇用・屋号存続等)を明確にしておくことが行き違いを防ぐポイントです。

①意向表明(意向表明書とは)

M&Aにおける意向表明は「意向表明書」により、譲り受けを希望する会社等から、譲り受けを希望する意思表示を行うことを意味します。

通常は一定の書式に従って、譲渡価額、この時点で提示できる譲渡の条件を記載して、譲り渡し側に書面を提出します。この時点では、法的拘束力を持たせることはできないので、後日、譲り受け候補者が取引を断ったとしても、基本的には責任追及はできません。そのあたりを理解しながら今後の進め方を考慮していく必要があります。

意向表明書に記載される主な項目は、一般的に以下のようなものです。

  • 譲り受けを希望する価格の目安(レンジで示されることも多い)
  • 想定しているスキーム(株式譲渡事業譲渡等)
  • デューデリジェンスの実施希望時期
  • 想定スケジュール(基本合意・最終契約までの目安)
  • 独占交渉権を希望するか否か、希望する場合はその期間
  • 意向表明書自体の有効期限

これらの項目がどこまで具体的に書かれているかは候補企業によって差があり、記載が詳しいほど、その候補企業の検討の本気度や準備状況を推し量る材料にもなります。

②候補企業選定と条件交渉

意向表明を行った譲り受け候補企業が複数の場合、実際に最終契約を行う企業を選定しなければなりません。また、一社のみ意向表明しているのであれば、その会社を候補企業として承認するかの決定をする必要があります。

いずれにしても、譲り渡し側としては、それらの企業自体が譲渡先として許容できる先なのかを判断し、その後、価格を含めた条件交渉を行うことになります。

候補企業を選ぶ際は、価格の高さだけでなく、次のような点も合わせて検討されることが一般的です。

  • 譲渡後の事業継続方針(屋号・事業内容を維持する意向があるか)
  • 従業員の雇用継続に対する考え方
  • 資金調達のめどが立っているか(実行可能性)
  • 経営統合後の体制やスケジュール感が現経営者の希望と合うか

交渉の進め方は、当事者と候補者との関係や事業の類似度合、候補者と仲介者・アドバイザーとの関係度合等により様々な形態があります。案件の規模や論点の多さによって交渉に要する期間は大きく異なりますが、一般的には複数回のやり取りを経て合意形成に至ることが多いとされています。

M&Aの条件交渉で資料を指し示しながら協議するイメージ

③当事者(譲り渡し側)の留意点

希望する条件の優先順位をはっきりとさせておくことが重要で、それらをしっかりと仲介者・アドバイザーに理解してもらうことを心がけましょう。

価格を最優先するのか、従業員の雇用維持を優先するのか、あるいは屋号や事業の存続を優先するのかによって、選ぶべき候補企業や交渉の進め方は変わってきます。優先順位が曖昧なまま交渉を進めると、後になって「思っていた条件と違った」という行き違いが生じやすくなります。

その上で、緊密なコミュニケーションをとり、仲介者・アドバイザーのアドバイスを得て話し合いを進めることが重要です。

④仲介者・アドバイザーの留意点

中小企業・小規模事業者のM&Aにおいては、譲り渡し企業にとってM&Aが初めての経験である場合が多いことから、仲介者・アドバイザーは、できる限り時間を割いて、譲り渡し側、譲り受け側の意向を確認し、最大限双方の納得する形で交渉をまとめることが重要です。

譲り渡し側が条件を整理しきれていない場合は、優先順位の明確化を手伝うことも、仲介者・アドバイザーの重要な役割のひとつです。

まとめ

  • 意向表明は、譲り受け候補企業が譲渡価格や希望条件を書面で示す最初のステップで、通常は法的拘束力を持ちません
  • 複数の候補企業がいる場合は、価格だけでなく雇用維持や事業継続方針なども踏まえて選定します
  • 条件交渉では、自社の優先順位(価格・雇用・屋号存続等)を明確にしておくことが行き違いを防ぐポイントです
  • 仲介者・アドバイザーは、初めてM&Aに臨む譲り渡し企業の意向を整理しながら、双方が納得できる合意形成をサポートします

よくある質問

結論:意向表明書受領後の契約義務の有無、意向表明書の詳しさの評価、条件交渉で対立した場合の進め方など、経営者が特に気になる3つの疑問にお答えします。

Q

意向表明書を受け取ったら、必ずその会社と契約しなければなりませんか?

Aいいえ。意向表明書は法的拘束力を持たないのが通常で、この段階では受け取った側・提出した側のどちらにも契約義務は生じません。複数の候補企業を比較検討した上で、選定を決めることができます。
Q

意向表明書の内容が詳しい会社と、簡潔な会社ではどちらを重視すべきですか?

A一概には言えませんが、価格や条件が具体的に記載されているほど、その候補企業が案件を精査した上で提示している可能性が高いとされます。ただし内容の詳しさだけでなく、実行可能性(資金調達のめど等)も合わせて確認することが大切です。
Q

条件交渉で意見が対立した場合、どう進めればよいですか?

A自社の優先順位(価格・雇用維持・屋号存続等)を改めて整理し、仲介者・アドバイザーを通じて相手方に伝えることが基本です。譲れる点と譲れない点を切り分けて伝えることで、交渉がまとまりやすくなります。

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佐藤 信

👤 監修者

佐藤 信(さとう あきお)

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2018.04.18 更新

By IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2018年4月18日