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M&A用語解説

割引率(わりびきりつ/Discount Rate)

割引率とは、将来受け取る(または支払う)金額の価値を、時間的価値を考慮して現在の価値(現在価値)に換算する際に用いる利率(年率)をいう。企業価値評価や投資評価に用いる割引率は、一般に無リスク金利(リスクフリーレート)を基礎として、対象となるキャッシュフローのリスクに応じたリスクプレミアム等を反映して設定される。

将来価値をV、割引率をr、期間をn年とすると、現在価値(PV)はPV=V/(1+r)のn乗として算出される。割引率の水準が高いほど将来のキャッシュフローの現在価値は小さく評価され、割引率が低いほど現在価値は大きく評価される。

割引率は、割り引く対象となるキャッシュフローや負債の性質に応じて、異なる種類のものが用いられる。企業価値評価のDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)では、企業全体に帰属するフリーキャッシュフロー(FCFF)を割り引く際の割引率として加重平均資本コスト(WACC)が、株主に帰属するキャッシュフロー(FCFE)を割り引く際の割引率として株主資本コストが、それぞれ用いられる。また会計上は、退職給付債務等の計算における割引率について、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」第20項および同注6において、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定するものとされ、その利回りには期末における国債・政府機関債・優良社債の利回りを用いる旨が定められている。

※本記事におけるDCF法・WACCに関する記載は、M&Aにおける企業価値評価の実務を念頭に置いたものであり、退職給付債務等の会計処理における割引率の適用については、対象となる会計基準や監査上の取扱いを別途ご確認ください。

なぜM&Aで重要か

M&Aの実務においてDCF法により企業価値・事業価値を算定する場合、割引率の設定水準は算定結果に直接的な影響を与える。同一の将来キャッシュフローであっても、割引率の前提を数パーセント変動させるだけで算定される企業価値は大きく変動しうるため、採用した割引率の前提(資本構成、株主資本コストの算定方法、リスクフリーレート等)が合理的であるかを確認することが重要である。

また、割引率は割り引く対象となるキャッシュフローのリスク特性に応じて選択する必要がある。買収対象会社全体のWACCを、リスク特性の異なる個別事業・新規事業や、買収後に資本構成が大きく変化することが見込まれる案件へそのまま機械的に適用すると、事業価値を誤って評価するおそれがある。M&Aの検討にあたっては、対象事業のリスクや買収後の資本構成を踏まえて、適用する割引率の妥当性を個別に検討することが重要である。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年10月6日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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