純資産価額方式(じゅんしさんかがくほうしき)👁 閲覧数:301回

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M&A用語解説

純資産価額方式(じゅんしさんかがくほうしき)

純資産価額方式とは、主に相続税・贈与税における取引相場のない株式の評価において、会社の純資産価額を基礎として株式の価額を算定する評価方式を指す語です。財産評価基本通達が定める評価方式の名称として用いられます。M&Aの実務で純資産に着目する評価方法として説明される簿価純資産法・時価純資産法も、純資産に着目する点は共通しますが、財産評価基本通達の純資産価額方式(資産を相続税の評価額で評価し、評価差額に対する法人税額等相当額を控除する方法)と同一の評価方法ではありません。

国税庁は、取引相場のない株式の評価における純資産価額方式を、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替え、評価した総資産の価額から、負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた金額で評価する方法と説明しています(国税庁タックスアンサーNo.4638)。財産評価基本通達185は、1株当たりの純資産価額を、課税時期における各資産を評価した価額の合計額から、各負債の金額の合計額と、186-2により計算した評価差額に対する法人税額等相当額を控除した金額を、課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とし、通達179の(2)の算式及び(3)に用いる場合で、株式の取得者とその同族関係者の議決権の合計が評価会社の議決権総数の50%以下であるときは、その金額に100分の80を乗じるとしています(国税庁「財産評価基本通達」第8章第1節)。これは相続税等の財産評価上の定めであり、M&Aにおける譲渡価格の算定方法そのものを定めたものではありません。

M&Aの場面では、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」参考資料2「中小M&Aの譲渡額の算定方法」(PDF)が、簿価純資産法(貸借対照表の純資産を株式価値とする手法)と、時価純資産法(資産・負債を時価評価し、簿外資産・負債も評価した純資産を株式価値とする手法)を説明しています(中小M&Aガイドライン参考資料2 1〜2頁)。参考資料2は、簿価純資産法について、関係者がイメージしやすくコストをかけずに算定できる一方、帳簿価額と時価が大きく乖離している場合や簿外資産・負債がある場合は、本来の株式価値を表さないこともあるとしています。時価純資産法については、譲受側が対象企業の実態を把握するために有効な一方、時価の算定にコストや時間を要する場合があるとし、中小M&Aでは一部の資産・負債のみを時価評価する「修正簿価純資産法」を用いるケースも多いとしています。

また、日本公認会計士協会の経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」(2013年7月改正・PDF)は、純資産に着目する方法をネットアセット・アプローチとして位置づけ(企業価値評価ガイドライン26頁)、簿価純資産法と時価純資産法(修正簿価純資産法)がこれに属するとしています(企業価値評価ガイドライン47〜48頁)。企業価値評価ガイドラインは、このアプローチを静態的な評価アプローチとし、のれん等が適正に計上されていない場合には、将来の収益力の反映は難しいとしています(企業価値評価ガイドライン26〜27頁)。

※評価方法の名称や内容は、目的(税務上の評価、M&Aの価格算定など)や実務によって異なります。個別の取引については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

純資産に着目する評価は、貸借対照表を基礎とするため、将来の収益力が貸借対照表に反映されていない場合は、評価額に表れにくいといえます。そのため、評価の目的や対象会社の状況に応じて、DCF法など他の評価方法と比較しながら検討することになります。中小M&Aガイドライン参考資料2は、M&Aの実務では、簿価純資産法または時価純資産法で算出した金額に数年分の利益を加算する場合もあるとしています(中小M&Aガイドライン参考資料2 1頁)。これは財産評価基本通達の純資産価額方式とは別の、M&A実務上の考え方です。

また、時価純資産法では、帳簿価額と時価の差や簿外資産・負債の有無が評価に影響するため、対象会社の実態を把握する作業とあわせて検討することが重要となります。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年10月6日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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