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M&A用語解説

譲渡制限株式(じょうとせいげんかぶしき)

譲渡制限株式とは、株式会社がその発行する全部または一部の株式の内容として、譲渡による取得について会社の承認を要する旨の定めを設けている場合の当該株式をいいます(会社法第2条第17号)。株式は原則として自由に譲渡できますが(会社法第127条)、この定めにより、会社にとって好ましくない者が株主になることを防ぐことができます。全部の株式の内容として定める場合は会社法第107条第1項第1号、一部の種類株式のみとする場合は会社法第108条第1項第4号に基づき、いずれも定款で定めます。

譲渡制限株式の株主は、株式を他人に譲り渡そうとするとき、会社に対し、その他人が取得することについて承認するか否かの決定を請求できます(会社法第136条)。請求では、譲渡する株式の数(種類株式発行会社では株式の種類および種類ごとの数)と譲受人の氏名または名称のほか、不承認の場合に会社または指定買取人による買取りを求めるときはその旨を明らかにします(会社法第138条第1号)。株式を取得した者も、取得したことについて承認を請求できます(会社法第137条第1項)。この請求は、原則として株主名簿上の株主(またはその一般承継人)との共同請求が必要です(会社法第137条第2項)。

承認するか否かは、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議で決め、定款に別段の定めがあればその定めによります(会社法第139条第1項)。会社は、決定した内容を請求者へ通知しなければなりません(会社法第139条第2項)。請求の日から2週間(定款でこれを下回る期間を定めた場合はその期間)以内にこの通知をしないときなどは、会社が承認したものとみなされます(会社法第145条第1号)。ただし、会社と請求者が合意で別段の定めをしたときは、この限りではありません。

不承認とする場合で、請求者が買取りも請求していたときは、会社が対象株式を買い取るか(会社法第140条第1項)、会社が指定した買取人(指定買取人)が買い取ります(会社法第140条第4項)。会社または指定買取人は、買取りの通知にあたり、一株当たり純資産額に対象株式の数を乗じた額を本店所在地の供託所に供託しなければなりません(会社法第141条第2項、会社法第142条第2項)。

承認を得ずに行われた譲渡は、会社に対しては効力を主張できませんが、譲渡した当事者間では有効と解されています。また、相続などの一般承継による取得は「譲渡による取得」にあたらず承認の対象外ですが、定款で、一般承継により株式を取得した者に対し、会社へその株式を売り渡すよう請求できる旨を定めることができます(会社法第174条)。

※定款上の承認機関の定め・承認手続きの詳細については、司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

非上場の中小企業では、経営者の意向に反して株式が第三者に分散することを防ぐため、定款で株式に譲渡制限を付している例が多くあります。株式譲渡による事業承継・M&Aでは、譲受人が会社との関係でも株主として扱われるよう、通常、クロージングまでに会社の譲渡承認を得る手続が必要となり、取締役会または株主総会の招集・決議の工程をスケジュールへ組み込みます。

定款上の承認機関、みなし承認や買取りに関する定め、一般承継人への売渡請求の定めがどうなっているかは、デューデリジェンスの初期段階で必ず確認すべき事項の一つです。

この用語のカテゴリー

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年12月14日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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