超過収益力(ちょうかしゅうえきりょく)👁 閲覧数:262回

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M&A用語解説

超過収益力(ちょうかしゅうえきりょく)

超過収益力とは、一般に、企業が同種の事業において通常期待される水準を上回る収益を継続的に獲得できる力をいう。その背景には、例えば、ブランド力や取引関係、技術力・ノウハウといった無形の要因があると考えられ、主にのれんの経済的な中身を説明する際に用いられる。企業価値評価の実務では、評価対象会社の正常利益から純有形資産に帰属する投資利回りを控除し、無形資産に寄与する利益である超過利益を算出する方法(超過収益法)が示されている(日本公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン」(経営研究調査会研究報告第32号、2007年5月16日公表・2013年7月3日改正)(PDF)、48頁)。

企業会計基準委員会「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号、2019年1月16日最終改正・2026年1月9日修正反映)(PDF)は、本文で超過収益力を定義しておらず、結論の背景で触れるにとどまる(企業結合に関する会計基準第106項、35頁)。「取得」とされる企業結合では、取得原価を識別可能な資産及び負債の時価を基礎として配分し、法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産は識別可能なものとして取り扱う。取得原価が配分された純額を上回る場合の超過額が、のれんとして会計処理される(企業結合に関する会計基準第28項・第29項・第31項、8頁)。このため、のれんは識別可能な無形資産などへの配分後に残る超過額として計上される。株式の交換による企業結合のプロセスで買収対価の過大評価や過払いが生じている可能性がある場合には、のれん等が過大に計上される状況が考えられるともされている(企業結合に関する会計基準第109項、36頁)。買収価格と帳簿上の純資産額との差額の全額が、超過収益力やのれんに当たるとは限らない。

のれんの償却について、結論の背景は、「のれんが超過収益力を表わすとみると」競争の進展によって通常はその価値が減価すること、また、超過収益力が維持されている場合も企業結合後の追加的な投資や企業の追加的努力によって補完されているため、のれんを償却しないことは追加投資による自己創設のれんを計上することと実質的に等しくなることを挙げている(企業結合に関する会計基準第106項、35頁)。平成15年の会計基準ではこうした議論を踏まえて規則的な償却が採用され、現行の会計基準でも、のれんは資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他の合理的な方法により規則的に償却し、金額に重要性が乏しい場合には生じた事業年度の費用として処理できるとされている(企業結合に関する会計基準第107項、35–36頁;第32項、8–9頁)。詳しくはのれん代や営業権も参照されたい。

※会計処理や企業価値の評価方法は、個別の取引や適用する会計基準によって異なります。個別の取引については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

M&Aで譲渡価格を検討する際の企業価値評価では、事業価値は、純資産価値だけでなく、会社の超過収益力等を示すのれんや、貸借対照表に計上されない無形資産・知的財産の価値を含めた価値とされる(企業価値評価ガイドライン25頁)。また、貸借対照表の純資産を基礎とするネットアセット・アプローチでは、無形資産や知的財産等が価値の源泉の大半である企業についてその価値が評価されない可能性があるため、超過収益力等を価値評価に反映させやすいといわれるインカムアプローチ(DCF法など)の選定を検討すべきとされる(企業価値評価ガイドライン29頁)。

超過収益力の源泉が経営者個人の人脈や一部の取引先に依存している場合には、買収後にそれを維持できるかが問題となりうる。買い手は、超過収益力の源泉が何であり、買収後も持続するかをデューデリジェンスで確認することが重要であり、売り手も、自社の強みを客観的に説明できるよう整理しておくことが有益である。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年10月9日 | 最終更新日: 2026年10月16日
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