M&Aコンサル用語集TOP / カ行 / 現在価値閲覧数:314回
M&A用語解説
現在価値(げんざいかち)
現在価値とは、将来受け取る(または支払う)金額を、割引率を用いて現時点の価値に換算した額です。割引率には、利子率や資本コストなどが用いられます。日本公認会計士協会 経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」(2013年7月改正)(PDF)でも、将来のキャッシュ・フローを資本コストで割り引いた現在価値の合計として事業価値を求める方法が示され、設例ではリスクを反映した割引率として利子率5%を置いて将来の節税効果額を割り引いています(企業価値評価ガイドライン32頁、42頁)。
将来価値をV、割引率をr、期間をn年とし、割引率を毎年一定として年1回複利で割り引く場合、現在価値(PV)はPV=V/(1+r)のn乗で求められます。複利とは利子にもまた利子がつくことをいい(金融広報中央委員会「知るぽると」金融用語解説「複利とは」)、現在価値はその逆算にあたります。たとえば年利5%で100万円を預けると、1年後には105万円(100万円×1.05)、2年後には110.25万円(100万円×1.05×1.05)になります。これを裏返すと、1年後の105万円の現在価値は100万円(105万円÷1.05)、2年後の110.25万円の現在価値も100万円です。
同じ将来の受取額であれば、割引率が高いほど現在価値は小さくなり、低いほど大きくなります。また、割引率がプラスであれば、受け取る時期が遠いほど現在価値は小さくなります。たとえば3年後の100万円は、割引率5%では約86.4万円(100万円÷1.05÷1.05÷1.05)、割引率10%では約75.1万円(100万円÷1.10÷1.10÷1.10)です。
将来に複数回のキャッシュフローが見込まれる場合は、各期のキャッシュフローの現在価値をそれぞれ求めて合計します。企業価値評価ガイドラインのフリー・キャッシュ・フロー法の基本式も、各期の営業フリー・キャッシュ・フローの期待値を(1+割引率)の累乗で割り引いて合計する形で示され、各期のキャッシュ・フローは各期末に生じると仮定されています(企業価値評価ガイドライン31頁)。この考え方は、DCF法(割引キャッシュフロー法)の基礎となっています。
※数値は計算例であり、実際の評価額は、前提とする割引率や期間などによって異なります。個別の評価については、公認会計士・税理士等の専門家にご確認ください。
M&Aの評価でDCF法を用いる場合、事業価値は、将来の営業フリー・キャッシュ・フローの期待値を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値の合計として求めます(企業価値評価ガイドライン32頁)。算式のうえでは、同じ将来キャッシュ・フローでも割引率の設定によって現在価値が変わるため、評価額への影響は小さくありません。
また、フリー・キャッシュ・フロー法により、株式の買収時の取引目的で株主価値を評価する場合には、買い手が期待するシナジー効果について、将来の売上拡大額やコスト削減額を年度ごとに予測し、年度ごとの増分キャッシュ・フローの現在価値額を算定してシナジー効果の額を見積もる方法も考えられるとされています(企業価値評価ガイドライン54頁)。
実務上は、割引率などの前提が合理的かどうかを確認することが、評価額の妥当性を見極めるうえで重要です。前提が少し変わるだけでも現在価値は動くため、買い手・売り手の双方で算定の前提を確認しておくとよいでしょう。
