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M&A用語解説

決算(けっさん)

決算とは、株式会社が一事業年度の経営成績や事業年度末の財政状態を明らかにするため、事業年度終了時に帳簿を締め、貸借対照表・損益計算書等の計算書類を作成する一連の手続きをいいます。会社法(平成17年法律第86号)では、株式会社は、各事業年度に係る計算書類・事業報告およびこれらの附属明細書を作成しなければならないとされています(会社法435条2項)。

作成された計算書類・事業報告およびこれらの附属明細書は、監査役設置会社(会計監査人設置会社を除きます)では監査役の監査を受け、会計監査人設置会社では、計算書類について監査役(監査等委員会設置会社では監査等委員会、指名委員会等設置会社では監査委員会)および会計監査人の監査を受けます(会社法436条1項・2項)。取締役会設置会社では、取締役会の承認も受けなければなりません(会社法436条3項)。取締役は、計算書類および事業報告を定時株主総会に提出し、または提供しなければならず、提出または提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければなりません(会社法438条1項・2項)。ただし、会計監査人設置会社で、取締役会の承認を受けた計算書類が、法令および定款に従い会社の財産および損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、株主総会の承認は不要となり、取締役が計算書類の内容を定時株主総会に報告します(会社法439条)。

あわせて、法人税法(昭和40年法律第34号)では、内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づく確定申告書を提出しなければならないとされています(法人税法74条1項)。

※定款等の定めにより、または特別の事情があることにより、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長への申請に基づき、確定申告書の提出期限が延長されることがあります(法人税法75条の2)。個別の税務上の取扱いについては、税理士等の専門家にご確認ください。

なぜM&Aで重要か

M&Aでは、対象会社の決算書(貸借対照表・損益計算書)が、財務状況を把握する出発点になります。中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」34頁(PDF)でも、支援機関に相談する際には、直近3年分の税務申告書・決算書(損益計算書・貸借対照表を含む)・勘定科目内訳明細書の写しを用意すれば十分とされています。ただし、決算書の数字をそのまま企業価値の評価に用いるとは限りません。日本公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン(平成25年7月3日改正)」(PDF)本文47頁(PDF上53頁)は、会計上の帳簿価額を基礎とする簿価純資産法は客観性に優れる一方、各資産の時価が簿価と乖離していることが多いため、そのまま企業価値の評価に使用することは少ないと考えられるとしています。そのうえで、貸借対照表の資産・負債を時価で評価し直す時価純資産法については、全ての資産・負債の時価評価は実務的に困難なことから、土地や有価証券等の主要資産の含み損益のみを時価評価することが多く、修正簿価純資産法とも呼ばれると説明しています。また、他社の倍率を用いる方法では、比較のための財務数値について、非経常損益項目を控除したり、会計処理基準の違いを考慮して修正を加えたりする必要があるとしています(企業価値評価ガイドライン本文45頁(PDF上51頁))。

株式譲渡では、未払残業代等の貸借対照表上の数字には表れない簿外債務や、現時点では未発生でも将来発生し得る偶発債務のリスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデューデリジェンスが実施される傾向があると説明されています(中小M&Aガイドライン48頁)。また、中小M&Aガイドラインは、中小M&Aに先立つ「見える化」(経営状況・経営課題等の現状把握)と「磨き上げ」(事業承継に向けた経営改善等)が、事業承継において一般に必要とされるとしたうえで、中小M&Aの実行のためには最低限、株式・事業用資産等の整理・集約が必要としています(中小M&Aガイドライン35頁)。決算内容の正確性を高めておくことも、買い手が財務状況を把握しやすくなる準備の一つと考えられます。

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監修者情報
監修者 佐藤信(IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役)
監修

佐藤 信(さとう あきお)

M&A・事業承継の専門家|IRI M&Aコンサルティング株式会社

IRI M&Aコンサルティング株式会社 取締役。M&A・事業承継に関する実務経験をもとに、中小企業の譲渡・譲受、事業承継、企業価値評価などの支援に従事。本サイトでは、専門用語を初めて学ぶ方にも理解しやすい表現を心掛け、実務で活用できる情報の監修を担当しています。

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2016年10月7日 | 最終更新日: 2026年10月20日
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