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医療法人の「持分あり・なし」の違いを徹底解説

佐藤 信

監修:佐藤 信アイアールアイM&Aコンサルティング株式会社 取締役
最終更新日:2026年4月20日

📋 この記事でわかること

  • 医療法人の承継でまず確認すべき「持分の有無」という区分
  • 持分あり医療法人の承継方法と、評価・税務上の注意点
  • 持分なし医療法人の承継方法(理事長交代)とその特徴
  • 持分あり・なしが生まれた制度的背景(2007年医療法改正)
  • それぞれのケースで実務上重要になる論点の違い
📝 この記事のまとめ 📝
  • 持分あり法人は出資持分の譲渡により一般企業に近い形でM&Aができ、対価を受け取れる
  • 持分なし法人は財産権がなく売却できないため、理事長交代で運営者を引き継ぐ
  • 2007年の医療法改正以降に設立された法人は原則として持分なしとなる
  • 持分あり法人の論点は「評価と税務」、持分なし法人の論点は「誰にどう引き継ぐか」
  • どちらの場合も制度だけでなく現場の運営(人・信頼関係)が承継の成否を左右する

最初に確認すべき最重要ポイント

結論:医療法人のM&Aや承継を検討する際、最初に確認すべきは「持分があるかないか」です。この違いによって承継方法・対価・手続きの難易度が大きく変わります。

実務の現場では、ここを正しく理解していないために、途中でスキームが破綻したり、想定していた資金回収ができなくなるケースも少なくありません。したがって、すべての判断の出発点として、この区分を明確にすることが重要です。

「持分」とは何か

結論:持分とは、医療法人の財産に対する権利のことで、株式会社の「株」に似た概念です。

簡単に言えば、「出資した人が将来その価値を受け取ることができるかどうか」という考え方です。持分がある場合は、その価値を第三者に譲渡することができ、実質的な売却が可能になります。一方で、持分がない場合は財産権が認められていないため、法人を売るという考え方自体が成立しません。

医療法人の「持分あり vs なし」徹底解説

持分あり医療法人の考え方

結論:持分あり医療法人は、出資持分を第三者に譲渡することで一般企業に近い形でM&Aができ、法人の価値を金銭として回収できます。

この仕組みにより、長年経営してきた医療法人の価値を金銭として回収できる点が大きな特徴です。また、相続対策の一環として活用されることもあります。ただし、注意すべき点として、法人の価値が高まるほど出資持分の評価額も上がるため、相続税などの税務リスクが発生する可能性があります。特に利益が安定している法人や不動産を多く保有している場合には、評価が想定以上に高くなるケースもあります。このように、持分あり法人は「売却できる」というメリットがある一方で、「評価と税務」が大きな論点になる構造です。

持分なし医療法人の考え方

結論:持分なし医療法人には財産的な権利がないため法人の価値を直接売却して回収することはできず、承継は理事長・理事の交代によって行います。

法人そのものを譲渡するのではなく、運営する主体を入れ替えることで経営権を移していきます。この仕組みの特徴は、相続問題が発生しにくく、法人としての安定性が高い点にあります。一方で、売却益という形での資金回収ができないため、承継のインセンティブが弱くなりがちです。実務では、退職金の設計などを通じて資金回収を図るケースが多く見られますが、この設計を誤ると税務上の問題が発生するため注意が必要です。

両者の違いの本質

医療法人の「持分あり vs なし」徹底解説

結論:持分あり・なしの違いは単なる制度の違いではなく、「承継の考え方そのものの違い」です。

持分ありの場合は、法人の価値を第三者に移転し、その対価を受け取るという発想になります。これに対して持分なしの場合は、法人を社会的なインフラとして維持しながら、運営者を引き継ぐという発想になります。この違いを理解していないと、「売れると思っていたのに売れない」「お金になると思っていたのに回収できない」といった認識のズレが生じます。

制度が分かれた背景

結論:現在の持分あり・なしの区分は、2007年の医療法改正により新設法人が原則として持分なし法人となったことが背景にあります。

その結果、古くから存在する法人は持分あり、新しく設立された法人は持分なしという構造になっています。したがって、法人の設立時期によっても承継の方法が変わることになります。

実務上の重要な論点

結論:持分あり法人の最重要論点は「評価」、持分なし法人の最重要論点は「誰にどう引き継ぐか」です。

持分あり法人では、出資持分をいくらで譲渡するかという問題は税務とも密接に関係しており、専門的な検討が不可欠です。持分なし法人では、理事構成や院長の確保、スタッフの維持といった要素が承継の成否を左右します。どちらのケースでも共通して言えるのは、制度だけでなく「現場の運営」が非常に重要であるという点です。

まとめ

結論:医療法人の承継は「持分ありかなしか」の判断がすべての前提となり、この違いによってスキーム・資金回収・手続きの難易度が大きく変わります。

持分あり法人は価値を売却できる一方で、評価や税務が課題となります。持分なし法人は売却はできませんが、理事長交代によって承継することが可能です。最終的には、制度の理解に加えて、「人の引き継ぎ」と「現場の安定」をどのように実現するかが成功の鍵となります。

医療法人の承継は「制度」ではなく「設計」で決まります。

医療法人の「持分あり vs なし」徹底解説

よくある質問

結論:持分とは何か、持分なし法人の承継方法、持分有無の判断基準、論点の違いなど、特に気になる4つの疑問にお答えします。

Q

医療法人の「持分」とは何ですか?

A医療法人の財産に対する権利で、出資した人が将来その価値を受け取れるかどうかという、株式会社の「株」に似た概念です。持分がある場合はその価値を第三者に譲渡でき、実質的な売却が可能です。
Q

持分なしの医療法人は売却できないのですか?

A財産権が認められていないため、法人の価値を直接売却して回収することはできません。承継は理事長や理事の交代によって行い、実務では退職金の設計などを通じて資金回収を図るケースが多く見られます。
Q

自分の医療法人が持分あり・なしのどちらか、どう判断すればよいですか?

A設立時期が一つの目安になります。2007年の医療法改正により、以降に設立される医療法人は原則として持分なしとなったため、古くからある法人は持分あり、新しい法人は持分なしという構造になっています。
Q

持分あり・なしで承継の論点はどう違いますか?

A持分あり法人は出資持分をいくらで譲渡するかという「評価と税務」が最大の論点です。持分なし法人は「誰にどのように引き継ぐか」が核心で、理事構成・院長の確保・スタッフの維持が成否を左右します。

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佐藤 信

👤 監修者

佐藤 信(さとう あきお)

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2026.04.20 更新

By IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年4月20日