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郊外型ゴルフ練習場の事業譲渡完全ガイド|売却相場・買い手・不動産・成功のポイント

佐藤 信
監修:佐藤 信アイアールアイM&Aコンサルティング株式会社 取締役
最終更新日:2026年8月25日

郊外型ゴルフ練習場の事業譲渡完全ガイド

📋 この記事でわかること

  • 郊外型ゴルフ練習場で経営者の高齢化・後継者不足・設備老朽化が事業承継の課題になっている理由
  • 廃業ではなく「事業譲渡」を選ぶメリットと、株式譲渡との違い
  • 土地・建物をどう扱うか(一括譲渡/賃貸スキーム/不動産売却)という不動産面の考え方
  • EBITDA倍率を使った価格の考え方と、評価を上げる要因・下げる要因
  • 買い手候補や、譲渡前に整理しておくべき資料、プリペイドカード・従業員承継の注意点
📝 この記事のまとめ
  • 後継者不足・設備老朽化・維持費の上昇が、郊外型ゴルフ練習場でM&Aが増えている背景
  • 郊外型ゴルフ練習場は事業と不動産が密接に結び付いており、「事業だけ譲渡し土地は残す」選択肢がある
  • 価格はEBITDA×3〜5倍が出発点の目安だが、賃料設定・設備投資リスク・顧客基盤で大きく変動する
  • 買い手はゴルフ関連会社だけでなく、不動産会社・レジャー企業・投資会社など幅広い
  • プリペイドカード残高やレッスンプロの承継など、ゴルフ練習場特有の論点に注意が必要

郊外型ゴルフ練習場とは

結論:郊外型ゴルフ練習場は、都市型のインドアゴルフとは異なり、広い土地・建物と事業そのものが密接に結び付いている点が最大の特徴です。

郊外の幹線道路沿いや住宅地の周辺には、長年地域のゴルファーに親しまれてきたゴルフ練習場が数多くあります。郊外型ゴルフ練習場の典型的なイメージは、次のような施設です。

  • 50〜150打席程度
  • 150〜250ヤード程度
  • 大型駐車場を併設
  • 地域の固定客が多い
  • ゴルフスクールを運営
  • ショップや工房を併設
  • 土地・建物を経営者または関連会社が所有

都市型のインドアゴルフとは異なり、郊外型ゴルフ練習場では事業そのものと不動産が密接に結び付いていることが大きな特徴です。したがって、M&Aでも単純に営業利益だけを見て価格を決めるのではなく、土地・建物・設備・賃貸条件などを含めて考える必要があります。

郊外型ゴルフ練習場とは

なぜ今、ゴルフ練習場の事業承継が問題になっているのか

結論:経営者の高齢化と後継者不足に加え、防球ネットや支柱など多くの設備を維持するコストの増大が、事業承継を考えるきっかけになっています。

経営者の高齢化と後継者不足

ゴルフ練習場は長期間営業している家族経営の施設も多く、創業者や二代目経営者が高齢になっているケースがあります。ところが、広大な土地と特殊な設備を使用する事業であるため、子どもが必ずしも事業を継ぐとは限りません。黒字で固定客もいるにもかかわらず、後継者がいないため閉鎖を検討するケースもあります。

設備の老朽化

郊外型ゴルフ練習場では、防球ネット、支柱、ボール供給設備、集球設備、打席設備、照明、屋根、駐車場など、多くの設備を維持する必要があります。そのため、「次の大規模修繕を自分の代で行うべきか」という判断が、事業承継を考えるきっかけになることがあります。

※業界全体の統計は本記事「参考データ」でも触れていますが、個々の練習場の価値は施設ごとの立地・顧客基盤・設備状況によって大きく異なります。まずは自施設の状況を整理することをおすすめします。

廃業ではなく「事業譲渡」という方法

結論:ゴルフ練習場以外にも不動産などの資産を所有している会社では、会社ごと譲渡する株式譲渡よりも、事業だけを譲渡する事業譲渡が有力な選択肢になります。

ゴルフ練習場を第三者へ引き継ぐ場合、大きく分けると、①会社そのものを譲渡する株式譲渡と、②ゴルフ練習場事業だけを譲渡する事業譲渡があります。

特に、ゴルフ練習場以外にも不動産などの資産を所有している会社では、事業譲渡が有力な選択肢となります。例えば、土地を所有するオーナーが、土地・建物は所有したまま、ゴルフ練習場の営業だけを第三者へ譲渡するという方法です。この場合、買い手に土地を賃貸し、売り手はM&A後も賃料収入を得るという形も考えられます。

廃業ではなく「事業譲渡」という方法

ゴルフ練習場の事業譲渡では「不動産」が重要

結論:一般的な会社のM&Aとの大きな違いがここにあり、「事業はいくらか」だけでなく「不動産をどうするか」を同時に考える必要があります。

例えば、土地5,000㎡+100打席+200ヤードというゴルフ練習場があったとします。事業譲渡後の選択肢として、次のような複数の方法が考えられます。

パターン 内容
パターンA 土地+建物+ゴルフ練習場事業をまとめて譲渡
パターンB ゴルフ練習場事業だけを譲渡し、土地・建物は売主が所有
パターンC ゴルフ練習場事業を譲渡し、不動産は別の投資家へ売却

ゴルフ練習場の事業譲渡では「不動産」が重要

ゴルフ練習場はいくらで売れる?

結論:一律の相場はなく、営業利益・EBITDA×一定倍率を出発点にしつつ、保有設備や顧客基盤などを考慮して評価します。

事業譲渡価格には一律の相場があるわけではありません。一般的な中小企業M&Aと同様に、営業利益・EBITDA×一定倍率を参考にしながら、保有設備や顧客基盤などを考慮して評価します。

項目 試算例
年間売上 1億5,000万円
営業利益 1,500万円
減価償却費 500万円
EBITDA 約2,000万円
想定事業価値(EBITDA×3〜5倍) 6,000万円〜1億円程度

ただし、これはあくまで参考値です。実際には、施設の老朽化、今後必要となる設備投資、賃料、土地の契約期間、顧客数、スクール会員数、競合施設、商圏人口などによって価格は大きく変わります。

ゴルフ練習場はいくらで売れる?

特に重要なのが「適正賃料」

結論:「いくらで事業を売るか」と「M&A後にいくらの賃料を受け取るか」をセットで考えることが重要です。

土地建物を売主が所有したまま事業だけを譲渡する場合、非常に重要なのがM&A後の賃料です。例えば現在、営業利益3,000万円だったとしても、土地をオーナーから年間2,000万円で借りる条件にすれば、買い手から見た実質的な利益は大幅に低下します。逆に、事業を継続できる合理的な賃料設定にすれば、事業譲渡代金+長期的な不動産賃料という形で売主の収益を設計できる可能性があります。

高く評価されやすいゴルフ練習場

結論:単純に売上が大きい施設だけでなく、固定客と収益の再現性を持つ施設が評価されやすい傾向にあります。

買い手から評価されやすいのは、単純に売上の大きい練習場だけではありません。特に重要なのが固定客と収益の再現性です。

  • 長年営業している
  • 地域で知名度がある
  • 駐車場が十分にある
  • スクール会員が多い
  • レッスンプロが定着している
  • プリペイドカード等の利用客が多い
  • 法人利用がある
  • シニアだけでなく若年層も来場する
  • 夜間利用が多い
  • 競合施設が少ない

さらに最近では、弾道測定機などのデジタル設備を導入し、練習を「見える化」している施設も競争力を持ちやすくなっています。

高く評価されやすいゴルフ練習場

逆に評価を下げる要因

結論:将来必要になる大規模な設備投資や、特定のレッスンプロへの依存などは、事業価値を押し下げる要因になります。

注意したいのが「将来必要になる設備投資」です。例えば防球ネットや支柱の全面更新に数千万円規模の費用が必要になる場合、買い手はその費用を事業価値から差し引いて考える可能性があります。

  • 大規模修繕が必要
  • 駐車場が不足している
  • 近隣との騒音問題がある
  • 賃貸借期間が短い
  • 売上が特定のレッスンプロに依存している
  • 従業員が高齢化している
  • 会員数が継続的に減少している

どんな会社がゴルフ練習場を買うのか

結論:買い手は同業者に限らず、不動産会社やレジャー企業、投資会社など幅広い業種が候補になります。

買い手は同業者だけとは限りません。例えば、ゴルフ練習場運営会社、ゴルフスクール運営会社、ゴルフ用品販売会社、ゴルフ場運営会社、スポーツ関連会社、レジャー企業、不動産会社、地域企業、投資会社などが候補になります。特に、既に複数店舗のゴルフスクールを運営している企業にとっては、既存施設を取得することで新規出店に必要な時間を短縮できます。

どんな会社がゴルフ練習場を買うのか

「ゴルフ練習場+インドアゴルフ」という再生方法

結論:古い屋外練習場でも、インドアゴルフとの複合施設へ転換する再生型M&Aとして買い手の関心を集める可能性があります。

古いゴルフ練習場だから売れないとは限りません。買い手が、既存の屋外練習場+最新型インドアゴルフという複合施設へ転換するケースも考えられます。例えばクラブハウスの一部を改修して、シミュレーションゴルフ、弾道測定、ゴルフスクール、パター練習、ゴルフ工房、ショップなどを導入します。既存顧客を維持しながら新しい利用者を取り込めるため、施設再生型のM&Aとして買い手が関心を持つ可能性があります。

「ゴルフ練習場+インドアゴルフ」という再生方法

事業譲渡前に整理しておきたい資料

結論:財務・営業・設備・不動産の4分野の資料をあらかじめ整理しておくと、買い手との交渉がスムーズになります。

分野 主な項目
財務関係 過去3期程度の決算書、月別売上、部門別売上、人件費、水道光熱費、修繕費
営業関係 年間来場者数、月別来場者数、スクール会員数、打席稼働率、客単価
設備関係 打席数、ヤード数、防球ネット・支柱、ボール供給設備、集球設備、照明設備、その他主要設備、更新時期
不動産関係 土地面積、建物面積、所有・賃貸の別、賃貸借契約、用途地域等、駐車場台数

事業譲渡前に整理しておきたい資料

プリペイドカード・回数券にも注意

結論:プリペイドカードや回数券などの未使用残高を誰が負担するかを、売り手と買い手の間で明確にしておく必要があります。

ゴルフ練習場特有の論点として、プリペイドカードや回数券などの未使用残高があります。事業譲渡後も既存顧客が利用できるようにする場合、未使用残高を誰が負担するのかを売り手と買い手の間で明確にする必要があります。会員預り金やスクールの前受金なども同様です。売却価格だけではなく、こうした潜在的な負債をデューデリジェンスで整理することが重要です。

従業員・レッスンプロの承継

結論:事業譲渡では雇用契約は自動的に引き継がれないため、誰に残ってもらうかを早い段階から計画する必要があります。

ゴルフ練習場では設備以上に「人」が重要な場合があります。特に人気のレッスンプロが多数のスクール生を抱えている施設では、そのプロがM&A後も残るかどうかによって事業価値が変わります。事業譲渡の場合、従業員の雇用契約が自動的に買い手へ移るわけではありません。そのため、誰に残ってもらうのか、どのような条件で買い手に雇用してもらうのかについて早い段階から計画する必要があります。

従業員・レッスンプロの承継

ゴルフ練習場のM&Aで不動産会社の知識が重要な理由

結論:土地の価値が高い場合は、ゴルフ練習場として承継する場合と、不動産として別用途に活用する場合を比較して検討することが重要です。

ゴルフ練習場の事業譲渡は、通常の店舗M&Aよりも不動産の比重が大きい取引です。事業価値だけを査定しても、最適な売却方法になるとは限りません。例えば土地の価値が非常に高い場合には、①ゴルフ練習場として事業承継する場合だけでなく、②土地を別用途で活用する場合についても比較する必要があります。物流施設、商業施設、住宅、介護施設などへの転用可能性によっては、ゴルフ練習場として承継するより不動産として活用した方が経済合理性が高い場合もあります。逆に、土地の用途や形状などから他用途への転換が難しい場合には、既存のゴルフ練習場として承継することが有力な選択肢になります。

ゴルフ練習場のM&Aで不動産会社の知識が重要な理由

【参考データ】ゴルフ練習場業界の動向

結論:ゴルフ人口に関する統計は、調査対象の年齢層や「ゴルフ人口」の定義(コース利用か、練習場利用か、その両方を合わせた数値か)が異なるため、単純に比較することはできません。

出典:笹川スポーツ財団「わが国のゴルフ人口」クオリティーゴルフ「24年ゴルフ人口480万人、練習場450万人、『レジャー白書2025』」

笹川スポーツ財団の調査(2024年6月実施、全国18歳以上3,000人を対象としたアンケートに基づく推計)によれば、20歳以上でゴルフ場でのプレーまたは練習場利用のいずれか、または両方を年1回以上行った人(ゴルフ人口)は2024年時点で912万人と推計されており、実施率は2020年の7.7%から2024年は8.9%へと増加傾向にあります。一方、公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2025」を報じた業界紙によれば、2024年のゴルフ場でのプレー人口は約480万人、ゴルフ練習場利用人口は約450万人とされています。笹川スポーツ財団の912万人はコース・練習場を合算した数値であるのに対し、レジャー白書の450万人は練習場利用のみを集計した数値であり、両者は測定対象そのものが異なるため、数値を単純に比較することはできません。実際の事業価値は、業界全体の人口動向以上に、立地・顧客基盤・設備状況によって施設ごとに大きく異なります。

【参考データ】ゴルフ練習場業界の動向

M&Aの流れ

結論:ゴルフ練習場M&Aは無料相談から企業価値算定、買い手探索、デューデリジェンスを経て最終契約・引き継ぎに至るまで、通常6か月〜1年程度が目安です。

一般的な事業譲渡と同様、①無料相談・企業価値算定、②買い手候補の探索・マッチング、③トップ面談・条件交渉、④デューデリジェンス、⑤最終契約・クロージング、⑥引き継ぎという流れで進みます。ゴルフ練習場の場合は特に、不動産(賃貸借条件や用途地域)の確認と、プリペイドカード・レッスンプロなど施設特有の論点の整理に時間を要することが多く、早めの準備が望まれます。

アイアールアイM&Aコンサルティングのゴルフ練習場M&A

結論:M&Aと事業用不動産の両方を理解していることが、郊外型ゴルフ練習場の売却では重要です。

郊外型ゴルフ練習場の売却では、「M&A」と「事業用不動産」の両方を理解していることが重要です。アイアールアイM&Aコンサルティングでは、M&Aだけでなく、商業不動産を取り扱うグループのネットワークを活用し、事業譲渡、不動産売却、不動産を残した賃貸スキームなどを比較しながら、売主様に適した方法を検討できます。

「会社全部を売るつもりはない」「土地は残したい」「ゴルフ練習場だけ誰かに引き継いでほしい」「まだ売ると決めていないので、とりあえず価値だけ知りたい」という段階でも、M&Aを検討することは可能です。

まとめ|ゴルフ練習場は「閉める前」に事業価値を確認する

結論:廃業すれば失われる顧客・スタッフ・地域の信用も、事業譲渡を活用すれば存続させられる可能性があります。

郊外型ゴルフ練習場には、土地や設備だけではなく、何十年にもわたって築いてきた顧客、スタッフ、スクール会員、地域での信用があります。廃業してしまえば、その価値の多くは失われてしまいます。一方、事業譲渡を利用すれば、オーナーが引退した後もゴルフ練習場を存続させ、従業員の雇用や地域のゴルファーの練習環境を守れる可能性があります。そして、郊外型ゴルフ練習場の場合は、「事業価値」だけではなく、「不動産価値」「M&A後の賃料収入」「別用途への転用価値」まで含めて比較することが重要です。長年経営してきたゴルフ練習場を閉鎖する前に、まずは「この事業を引き継ぎたい会社があるのか」「事業としていくらの価値があるのか」を確認してみることをおすすめします。

よくある質問

Q

赤字でも売却できますか?

A可能です。単年度が赤字であっても、立地・顧客基盤・地域での知名度などが評価され、譲渡が成立するケースは少なくありません。決算書だけでなく事業の実態を丁寧に伝えることが重要です。
Q

土地は残したまま、事業だけを譲渡できますか?

A可能です。土地・建物は所有したままゴルフ練習場事業だけを譲渡し、買い手に土地を賃貸することで、事業譲渡代金と長期的な賃料収入の両方を得る設計もできます。
Q

設備が老朽化していても買い手は見つかりますか?

A見つかる可能性はあります。ただし、防球ネットや支柱などの更新費用は事業価値から差し引かれて評価される傾向があります。既存施設をインドアゴルフとの複合施設へ再生する買い手が関心を持つケースもあります。
Q

レッスンプロが引退・退職予定でも売却できますか?

A可能ですが、企業価値評価に影響することがあります。後継となるレッスンプロの育成計画や引き継ぎ体制を整理しておくと、買い手からの評価が高まりやすくなります。

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佐藤 信

👤 監修者

佐藤 信(さとう あきお)

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2026.08.25 更新

投稿者: IRI M&Aコンサルティング編集部 | 2026年8月28日