第三者割当増資とは、既存の株主であるか否かを問わず、ある特定の第三者に対して企業が新株を発行して資金調達を行う方法のことを言います。
これは増資にあたりますので、この手段で調達した資金は資本金の増加を伴います。第三者割当増資は、企業の自己資本を充実させ、財務体質の強化につながります。ただし既存株主にとっては持ち株比率が低下する上、不公平な株価で新株が発行された場合に希薄化により経済的に不利益を被る可能性がありますので、各種規制が存在しています。
実例:出光興産の新株発行差止仮処分事件
出光興産は2017年、経営統合に関連する資金調達として公募増資により新株を発行しましたが、創業家側が「持株比率の低下を主目的とした著しく不公正な発行」だとして新株発行の差止めを求める仮処分を申し立てました。東京地方裁判所・東京高等裁判所はいずれも平成29年7月に創業家側の主張を退け、増資は資金調達目的が優越すると判断しています。
実務上の注意点
第三者割当増資が「特に有利な払込金額」による発行(有利発行)に該当する場合は、株主総会の特別決議が必要です(会社法199条・201条)。発行価格の算定が客観的資料に基づく合理的な方法によっているかどうかが、有利発行に当たるか否かの重要な判断要素となります。既存株主の持株比率低下・株式価値の希薄化への配慮も欠かせません。