競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)

競業避止義務とは、会社の取締役等が自己または第三者のために、他の者と営業上または事業上で競争的な性質をもつことになる行為をしてはならないという義務をいいます。

商法や会社法では、営業譲渡人・事業譲渡人、支配人、代理商、持分会社の業務執行社員、株式会社の取締役・執行役が、この義務を負うことが定められています。営業譲渡事業譲渡の場合には、譲渡した営業・事業には従来の得意先、仕入先、創業の年代、営業・事業上の秘訣など、財産的価値ある事実関係を含むので、競業しないことが営業譲渡人・事業譲渡人の当然の義務と解されています。また、支配人、代理商、業務執行社員、取締役等については、営業主である会社の事業に関して得た知識や得意先等を利用し、会社の犠牲において、自己または第三者の利益を図るのを防止するために、この義務が認められています。一般的には、当該営業・事業の部類に属する行為あるいは同種の営業・事業行為が制限されます。
M&Aにおいては、売却企業側の経営者がM&A後に同一事業を営業すると買収企業側が営業上の損失を被ることを回避するために、通常は譲渡契約に競業避止義務条項を盛り込むことになります。

投稿者: | 2016年10月7日